日経NETWORKでは,2006年7月に,ネットワーク管理者に求められる「現場力」を診断するための問題を「ネットワーク検定」と題してWebで実施した。ここでは,「ネットワーク検定」の結果を,回答した人の「立場」で分析してみた。

 なお,以下の記事は,日経NETWORK2006年10月号の特集記事「実力診断&結果発表! ネットワーク検定2006」の一部を抜き出して加筆したものである。特集記事では,全問題,全問題の正答率,回答者インタビューなどを交えて紹介している。特集記事の内容の一部は,Webで公開している。ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

インテグレータはさすがに高得点

図2-1●立場ごとの平均点
図2-1●立場ごとの平均点
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 本試験を実施するにあたって,回答者に自分の立場が,(1)システム部などネットワーク専業部署で働く「正式管理者」,(2)ネットワーク管理は兼務している「にわか管理者」,(3)ネットワークを利用する立場の「一般ユーザー」,(4)顧客のネットワークを管理・運用する「インテグレータ」----のどれに当たるかを聞いた。この四つの立場ごとに,平均点などの違いなどを見てみよう。

 図2-1は,立場ごとの平均点である。結果は上から,インテグレータ(23.4点),正式管理者(22.4点),にわか管理者(21.5点),一般ユーザー(20.4点)となった。ネットワーク関連業務を専業とする立場の順に並んだ格好だ。それぞれ,約1点ずつの得点の差になった。

 インテグレータは,ネットワークの構築や管理の「プロ」である。現場の知識や経験も豊富であり,成績が良かったのはうなずける。対する一般ユーザーは,そのほかの立場の人に比べて経験できることは限られる。一般ユーザーの平均点が低かったのはそのためだろう。

「つながらない!」と言われたら「アドレス取得の失敗」を疑うべし

 立場の違いで差が出た問題を二つピックアップしてみた。立場によって,得意・不得意がはっきり出た問題である。

 一つ目は,問6「IP設定の表示結果からトラブル原因を推測」という問題。正答率は,インテグレータが73.7%,正式管理者が63.5%,にわか管理者が60.5%,一般ユーザーが50.5%だった。最も高かったインテグレータと,最も低かった一般ユーザーで,23.2ポイントの差がついた。問題は,以下である。

問6
ある日,同じ部署のユーザーから「いつもと同じようにパソコンを起動したが,インターネットにつながらない」という報告があった。そこでそのパソコンでipconfigコマンドを入力してみたら,以下のような表示が出た。この表示からわかることを,以下の選択肢から一つ選びなさい

問6の図
問6の図

[選択肢]
a. このネットワークにデフォルト・ゲートウエイが存在しない
b. パソコンでIPアドレスが手動設定されている
c. DHCPサーバーとやりとりできていない
d. IPアドレスを誰かが勝手に手動で割り当てた
e. DNSサーバーがダウンしている

 正解は,選択肢cの「DHCPサーバーとやりとりできていない」である。この問題の詳しい解説は,解説ページを参照してほしい。

 インテグレータの正答率が高く,一般ユーザーの正答率が低かったということは,インテグレータにとっては「よくあるトラブル」であり,一般ユーザーにとっては「自分では解決できないトラブル」ということである。DHCPを使っているネットワークでユーザーから「インターネットにつながらなくなった」という声があったら,まずはこの問題の事例を疑ってみるのがいいかもしれない。

「定番」のトラフィック監視ツールの名称は?

 問12「トラフィックの管理」も,立場ごとに差がついた問題である。正答率は,インテグレータが80.0%,正式管理者が68.9%,にわか管理者が65.3%,一般ユーザーが57.0%だった。インテグレータと一般ユーザーで,23.0ポイントの差がついた。

問12
ルーターやLANスイッチが送受信したトラフィックの情報を取得し,トラフィックをグラフ表示させて管理したいと思っている。その際,フリーで入手できるソフトウエアを使って実現したい。どの名称のソフトウエアを使えばよいか。以下の選択肢から一つを選びなさい。

[選択肢]
a. Apache
b. Sendmail
c. Snort
d. BIND
e. MRTG

  正解は,選択肢eの「MRTG」である。この問題の詳しい解説は,解説ページを参照してほしい。

 MRTGは,トラフィック監視ツールの定番であり,企業の管理者やプロバイダなどに広く使われている。MRTGを使ってトラフィックを監視するのは,WAN回線やサーバー回線の部分が多い。こうした部分は,逆に,一般ユーザーはあまり触れることはできない。インテグレータの正答率が高く,一般ユーザーの正答率が低くなったのはそのためだろう。

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