青天の霹靂---。
![]() 写真1●Boot Campベータ版のセッテイング画面 [画像のクリックで拡大表示] |
![]() 写真2●Boot Campベータ版のOS選択画面 [画像のクリックで拡大表示] |
「Apple自ら」が正式にMacへのWindows導入を支援するというわけである。このことはすぐさま一般紙でも大きく報じられ,ユーザーの動揺や興奮が伝えられた。折しも,Macファン・サイトで,WindowsをIntel Macで動かすというコンテストが行われるなど,関心が持たれていた。「これはMicrosoftにとって朗報」といったアナリストの見方も聞かれるなど,今,さまざまな意見が飛び交っている。
ファンは悲喜こもごも,Microsoftは「歓迎」
米メディアを見ると,Macファンや業界関係者の間で大変大きな話題になっていることがよく分かる。
「Macの熱狂的なファンにとっては屈辱的」といったものや,多くあるのが「ソフト開発者がMacから離れていってしまうのではないか」というMacユーザーの懸念(New York Timesの記事)。
一方で,これまでWindowsマシンの購入を躊躇していたMacユーザーの喜びの声も報じられている。筐体デザインが気に入っているMacでWindowsのソフトを動かすことに魅力を感じるMacユーザーが多いという(CNET News.comの記事)。Macworld誌のサイトではさっそくベンチマーク・テストの結果を掲載している。「Windows on Intel Macのパフォーマンスは同じ動作周波数のPC(Dell製やHP製)と互角の勝負」,などと伝えている(Macworldに掲載の記事)。
New York Timesの別の記事では,Microsoft社のコメントも報じている。それによると,同社は「Windowsは素晴らしいOS」としたうえで,「AppleのユーザーはWindowsを動かすことに興奮している,多くの人が待ち望んでいたことにAppleが応えたことを歓迎する」と述べたという(掲載記事)。
「サポートや販売は行わない。計画もない」
一方,Apple側のコメントは逆の立場のものが伝えられている。これまでMacを使ったことのないWindowsユーザーへの効果である。
例えばApple社の共同設立者であるSteve Wozniak氏は,New York Timesのメール・インタビュー答えて次のようにコメントしたという。「Appleにとって素晴らしいことだ。これで私は,Appleのハードウエアをもっと多くの人に使ってもらえるよう伝えられる。例えばこんな感じだ。『もしWindowsにイライラしたり,我慢できなくなったら,またWindowsが安全でなくなったら,Macに切り替えればいい』」(掲載記事)
Appleの売り文句もこれと似ている。製品マーケティング担当シニア・バイスプレジデントのPhilip Schiller氏は発表資料の中で次のように述べている「WindowsユーザーにとってMacはこれまで以上に魅力的なものになるだろう」(発表資料)。
今回のBoot Campの狙いはまさにこのSchiller氏の言葉に象徴される。ターゲットはズバリ「Windowsユーザー」だ。
同社はBoot CampをMac OSの一機能として提供するが,Windowsのサポートや販売を行うわけではない。Webサイトではそのことを明言し,計画さえもないと説明している。Windows XPは,ユーザーがBoot Campと,すでに持っているインストール・メディアを使って自分で導入する(関連記事)。Appleはその環境を用意するのみというわけである(Boot Campについては,詳細を記したWebサイトを設けている。なお,まだベータ版ということもあって「業務など重要なデータを取り扱う現場では使わないように」と注意を促している。あくまでも自己責任で,ということである)。
つまり,Boot Campの目的はMacユーザーを喜ばすことではない。同社はWindowsユーザーが欲しいのだ。
そもそもAppleのWindowsユーザーに向けた取り組みはこれが初めてではない。