フラッシュはI/Oが高速な半面、書き込み回数の上限という“寿命”がある。「汎用SSD」か「自前チップ」か、「SLC」か「MLC」かなど、製品づくりで各社のコンセプトは異なる。フラッシュ活用には、データの圧縮や重複排除など、ソフトウエアの力も欠かせない。製品の設計ポリシーを各社に聞いた。

(司会は森山 徹=日経コンピュータ)

(写真:北山 宏一)

司会:

 一口に「フラッシュを使う」と言っても、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を使うのか、オリジナルのチップを使うのか、製品によって選択は分かれます。フラッシュの種類も「SLC(シングルレベル・セル)」と「MLC(マルチレベル・セル)」では品質やコストは異なります。ソフトウエアの工夫も欠かせません。ハード、ソフトの選択について、まず、SSDから行きましょうか。

IBM:佐野

 じゃあ、私は両方出していますので。SSDの良いところはHDD(ハードディスクドライブ)の模造品だというところです。模造品のいいところはHDDが提供できる分野については基本的には使えるので、適用分野が広いというメリットがある。

 もう一つは部品交換がしやすい。例えばあるメーカーから製品が出なくなっても、ほかのメーカーのものを採用するということができるので、システム製品を作る上では、そういうメリットは当然あります。あとSSDというのは部品なので、部品が電器屋さんに売っています。電器屋さんに売っている部品というのは安くなる可能性が高いので、コストパフォーマンスという観点からすると悪い選択肢ではないです。

 一方でSSDは結局、HDDと同じことしかできません。SSDを超えたデザインができるというのが、オリジナルのチップを使う良い点の一つです。例えばSSDにはチップが8個とか6個とか入っていて、その中の1個が壊れても全損なんですね。もしかしたらチップを何とかうまくすれば、一つ死んでも、他は生きていてもいいじゃないですか。例えばIBMでは、チップ単位でRAIDをするようなことをしていますが、チップから作るとそういう面白いデザインが可能です。

 それからHDDはアームが動いているので、それと同じ動きをSSDもします。ですから、HDDをSSDに変えても、火縄銃が回転式の拳銃になって機関銃になっただけで、実は一瞬に出ている弾は1発なんです。だけどフラッシュのメモリーチップは電子回路なので、ファンイン、ファンアウトして、並列で動かすことが普通なんです。オリジナルのチップでは、そういうデザインができるというのがパフォーマンスが稼げる実は大きなポイントになります。

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