「Windows Azure」などを提供する日本マイクロソフトでは、社内の開発体制をクラウドに大きくシフトしている。売り上げもクラウド関連が増えており、パソコンというより、もはやクラウド企業とさえいえる。「製品の信頼性や可用性、安全性が向上し、クラウドの活用が猛スピードで進んでいる。今後は基幹業務システムとの連携など、いわばハイブリッド型の企業システムが増えるだろう」と日本マイクロソフト ビジネスプラットフォーム統括本部 業務執行役員 統括本部長の梅田成二氏は語る。


写真●日本マイクロソフト
ビジネスプラットフォーム統括本部 業務執行役員 統括本部長の梅田成二氏

クラウドが注目される中、どんな方針で臨んでいるか。

 当社は「Windows Azure」などを開発してきたが、この動きが加速度的に進んでおり、製品の開発体制はいまやクラウドへと大きくシフトしている。これまでの製品はオンプレミスが主体だったといえるが、ここ数年でクラウドがメインになってきた。開発も「クラウドファースト」になっている。

 既に多くの人材を投じてクラウド関連の製品を開発しており、売り上げもクラウド関連が伸びてきている。もはや以前のようなパソコン企業ではなく、クラウド企業とさえいえるほどだ。

クラウドを利用する企業も増えてきたか。

 開発体制が変わって製品が充実したことに伴い、今まで以上に信頼性や可用性、安全性が大きく向上してきた。こうした実績によって、多くのユーザー企業が当社のクラウドを利用し始めている。

 例えば、ハイヤーやタクシーの大手企業、日本交通グループでは、「今、自分のいる場所」にタクシーを呼べるアプリ「全国タクシー配車」のサービス提供基盤にWindows Azureを採用している。情報システム構築を担当する日交データサービスは、サービス開始後の提携タクシー会社の増加やダウンロードの増加に対応するために、Windows Azureに注目したという。クラウドが今までのシステム開発のやり方を変え、同グループのサービス向上に役立った。

 このほかにも、オンプレミス型の基幹業務システムとクラウドを組み合わせた、いわば「ハイブリッド型」のシステムを展開しているケースも多くなってきた。オーダーエントリーのような部分は従来型のシステム開発で行い、予約システムなどのフロント部分だけはクラウドのサービスを使い、両システムを連携させるわけだ。こうすると互いのメリットを享受できる。ハイブリッド型のシステム形態は今後、クラウド製品が充実してくると、さらに増えるだろう。

クラウドへの移行はこれからも速いペースで進んでいくのか。

 業界ごとにクラウドへの移行スピードは異なるかもしれないが、もはや逆戻りはありえない。金融関連など様々な業界でクラウドのメリットを感じ始めている。今後はどんな業界をどう攻めて行くべきか、クラウドべンダーとして問われるところだ。

 クラウドは日々進化している。それに応じて企業情報システムのあり方も大きく変わってくるに違いない。当社も5年後や10年先を見据えて対応していく。