個人ユーザーを中心に利用が広がるスマートフォンとタブレット端末。企業でも導入が進みつつあるが、ネックとなるのはパケット通信料。パケット定額サービスへの加入が前提となり、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)から切り替えると、一般に月額料金が1700円前後高くなるとされる。生産性の向上につながると分かっていても、通信料の大幅な増加が必至で容易に導入できないのが実情だ。

発想を転換して適用領域を模索

 導入効果を打ち出しやすい分野が、業務端末の置き換え。スマートフォンやタブレット端末は業務端末に比べれば安価で汎用性も高い。業務端末は専用端末ゆえに運用費も高くつく傾向にあり、スマートフォンやタブレット端末への置き換えで通信料が増えてもトータルではコスト削減になることも多い。導入をすぐに諦めるのではなく、発想を転換して適用領域を探ることも重要だ。

 エステサロンを展開するTBCグループは2013年1月、デジタルカメラの置き換えでタブレット端末を導入した(図6)。同社サロンでは、顧客がフェイシャルエステや脱毛の効果を確かめやすいようにデジタルカメラでサービス利用前後の肌などを撮影・提示していた。だが写真専用のプリンターは高価。専用の紙とインクを使うため、印刷に1枚当たり約30円の経費がかかっていた。写真の印刷後は紙をカルテに添付して保管し、カメラのデータは消去するなど事務処理が煩雑。印刷に時間がかかるので顧客を待たせてしまう点も課題だった。

図6●TBCグループはデジタルカメラの代わりにタブレット端末を活用してコスト削減
従来はデジタルカメラで顧客の写真を撮影して印刷していたため、1枚当たり約30円の経費がかかっていた。タブレット端末で撮影・提示する方式に切り替えた結果、ランニングコストを40%程度削減できた。
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 そこで考えた案が、タブレット端末の活用。端末のカメラ機能を使って撮影・提示すれば顧客を待たせずに済み、アプリの簡単な操作でサービス利用前後の写真を比較できる。写真専用プリンターや煩雑な事務処理も不要になる。端末は若干古い機種だったので実質0円で済み、初期費用は専用アプリの開発費だけ。データ通信にも店舗の無線LANを使い、1台当たりの月額費用を基本料とMDM(モバイルデバイス管理)サービスだけの約2000円に抑えた。「従来に比べて初期費用もランニングコストも圧倒的に安い。ランニングコストは最低40%程度削減できる見込み」(ビジネスソリューション推進室の長南進亮室長)という。

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