雑誌「日経コンピュータ」2012年8月2日号に、レガシーシステムに関する読者アンケートが載っていました。それによると、回答者の半分以上の方が、所属している企業でいまだにオフコン(オフィスコンピュータ)や汎用コンピュータなどのレガシーシステム(旧式のコンピュータシステム)を使っているそうです。ERPだ、クラウドだ、IT経営だと、IT業界は大騒ぎしていますが、世の中の多くの企業経営者は旧式のコンピュータ上に作られた基幹業務システムに対して、それほど大きな不満は感じていないようです。

 日本の大半の中堅・中小企業は30年ほど前に、争ってオフコンや小型汎用コンピュータを導入し、販売管理や生産管理などの基幹業務処理のコンピュータ化を図りました。日本企業の情報システム基盤はこの時代にほぼ出来上がったといえます。その後2000年問題やERPブームといったことを契機にレガシーステムからオープンシステムに入れ換えた企業もいますが、当時導入したコンピュータシステムをそのまま使い続けている企業もかなり残っているようです。

 昔のコンピュータシステム、とくにオフコン上に構築された情報システムは、ユーザーの要求に基づいて個別に開発されてきたものが多く、パッケージとは異なり“痒いところに手の届く”システムになっています。さらにRPGIIIやSMARTといった生産性の高い簡易言語を駆使した開発が行われていたため、開発費用も安く済みました。現在では何億円も開発費がかかるようなシステムでも、数千万円程度で実用上問題のないレベルのシステムが構築できました。

 たとえ旧式なシステムであってもとりあえず業務が回っているのであれば、多額な費用をかけてまでオープンシステムに作り変えたり、自由度の劣るパッケージシステムにわざわざ切り替えたりしようとしないのも当然です。ベンダートークに乗せられて何十億円もかけてERPシステムをカスタマイズ導入した企業の方が経営感覚的にはおかしいのではないか、と思う経営者の方がいてもおかしくありません。

 そんな堅実な経営をしてきた企業にも、現行システムからの置き換えを検討せざるをえない状況が迫ってきています。それは、ここのところコンピュータメーカーの業績が芳しくないためです。彼らが過去に販売したオフコンや小型汎用コンピュータなどのサポート態勢を維持することができなくなってきています。

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