省電力技術が進化している中、対策を誤ると、思わぬ落とし穴にはまることがある。サーバーの温度対応や設置方法、節電の本命とされる外気冷却には注意が必要だ。PCで一般的な省電力モードに頼らない対策も求められる。省電力技術の本質を理解し、現場のアンチパターンを押さえたい。
東日本大震災をきっかけに広がった電力危機。今夏の需給バランスは、昨年のような逼迫(ひっぱく)した状況はなかった。だが東京電力は4月以降、大企業に対して18.1%、中小規模では13.4%という電気料金の大幅な値上げを実施。引き続き高い節電目標を掲げる企業は多く、IT現場への節電圧力も厳しさを増している。
新たな省電力技術が常識を変える
こうした中、IT機器や関連設備の省電力技術が今年に入って進化を遂げている。「高温対応やピークシフト、パワーキャッピングなど、各分野で業界を挙げて省電力技術の開発に力を注いでいる」と、NECの藤浪秀樹氏(プラットフォームマーケティング戦略本部 商品マーケティング統括グループ マネージャー)は強調する。
ただし注意すべきは、IT現場で間違った省電力対策を講じることだ。省電力だと思い込んで取り組んだものの、思わぬ落とし穴にはまる場合もある。特に最近は、省電力技術の進化によって、これまでの常識に変化がある点にも注意が必要である。
そこで以下では、最新の省電力技術を踏まえつつ、IT現場でやってはいけない省電力対策を九つ紹介しよう(図1)。サーバー、PC、空調、電源という四つのジャンルに分けて、省電力対策のアンチパターンと、その根拠となる技術の仕組みを取り上げる。