サーバーの省電力化に対するニーズが一段と高まっている。東日本大震災を契機に深刻化した電力不足がこの夏も予想されるほか、東京電力が法人向け電力料金の値上げを4月に行う。メーカーも製品の省電力化に力を入れており、電源ユニットなどの部品共有化で1台当たり50Wを切る製品もある。
「サーバーの消費電力をこれまで以上に減らしたい」というニーズに応えた製品を、米Dell、米Hewlett-Packard、NEC、日立製作所、富士通といったサーバーメーカーが続々と提供している。米AMDが買収を発表した米SeaMicroのような省電力サーバー専業メーカーも日本市場に製品を投入している(表1)。
省電力化のニーズが高まっている理由は主に三つある(図1)。
第一の要因は、サーバーラックにおける供給電力の制限だ。多くのデータセンターでは、サーバーラックの供給電力が3kVA~6kVAと消費電力300Wのサーバー10~20台分にすぎない。サーバーが小型化して設置スペースが減っても、消費電力がネックになればサーバーを設置できない。
クラウドサービス事業を展開する日本情報通信の鷲見(すみ)剛実氏(クラウド&マネージドサービス事業部 クラウド推進室長)は「ラックが空いていても、供給電力の制限で、別のラックにサーバーなどの機器を配置する場合は少なくない」と語る。
第二は、東日本大震災に伴う電力会社の発電能力低下だ。東北電力や東京電力の多数の発電所が被災で停止したほか、全国の原子力発電所が検査でほとんど停止している。そのため需要期における電力不足が深刻になり、昨年からピーク消費電力の削減ニーズが高まっている。
第三は、電力料金値上げによるコスト上昇である。東京電力は燃料費増加などの理由で、契約電力50kW以上の顧客の料金を4月から値上げする。
値上げ幅は契約内容により異なるが、事務所などは13.4%(契約電力150kW、月間使用量3万3000kWh、業務用電力の場合)。大規模事務所ビルなどは18.1%(契約電力4000kW、月間使用量160万kWh、特別高圧季節別時間帯別電力Aの場合)だ。企業はコスト削減のため、消費電力の絶対量の削減にも着手する必要がある。