オンプレミス型のソリューションを提案する。EAIツールには、インフォテリアの「ASTERIA WARP」を採用する(表1)。具体的なシステム構成としては、既存システムと同じ社内LAN上にASTERIA WARPサーバーを追加導入する(図1)。

表1●TDCソフトウェアエンジニアリングの提案
[画像のクリックで拡大表示]
図1●既にEAIツールが社内に存在することを念頭に入れつつオンプレミスのEAIツール追加導入を提案
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、このサーバーはSalesforce接続用の位置付けで、ERPやSCMのシステムとは直接連携させず、既存のEAIシステムを流用する。Salesforce─ASTERIA WARP─既存EAIシステム─ERP/SCMという構成で、Salesforce CRMとEAI間の連携は、連動元のアクションを契機として随時データを反映する。この構成にすることで、システム変更を最小限にとどめられる。

アダプター方式により拡張性を確保

 ASTERIA WARPサーバーを社内ネットワーク上に置くことで、既存システムとの連携の応答速度低下を防ぎ、結果としてSalesforce CRMとの間でのスピーディーなデータ連携を可能にする。Active Directory(AD)とはASTERIAを介さずにSalesforceのAD連携機能をそのまま利用する。

 またASTERIA WARPは、インフォテリアのパートナー企業などが提供するアダプターを利用することで、CRM、SAPをはじめ多くのシステム連携に対応。新たな連携システムが追加された場合には、これらのアダプターの利用を検討する。

 ASTERIA WARPサーバーはLinux上で稼働。EAIはシステム全体の可用性確保の観点でのボトルネックになりやすいため、サーバー2台による冗長構成(HA構成)とし、クラスタリングソフトを使って障害時の自動切り替えを実現する。ディスクドライブも、サーバーOS/EAIツール用をRAID1構成×2サーバー分、データ用の共用ディスクドライブをRAID5構成で3本利用するものとする。

専用クライアントからGUIで設定

 クライアントパソコンに専用デザイナーツールをインストールすれば、GUIベースで連携の条件を設定・管理できる。この条件設定はアイコンを組み合わせる程度の操作で実施できるため、連携処理の設計を手軽に済ませられる。

 ASTERIA WARPは、GUIベースの実装内容をそのまま仕様書の形式に文書化する機能を備えているため、データ連携ロジックを見える化できる。このため設計と実装にズレが生じることがなく、保守性の高いシステムを実現できる。

 なお、連携処理の作成時には、共通処理、個別処理を切り分けて作成し、処理の目的やメンテナンス時の注意点などをコメント記述することで保守性を高める。

 連動処理の起動契機は、URL指定によるトリガーを想定する。バッチ処理の起動や運用を実施する場合は改めて詳細に設計するものとする。この際、CSV受け渡しなどの方式を採用する可能性もある。

 システム単位の利用状況データについては、連携処理実行時、実行ログを取得することで対応。状況を可視化すると同時に、費用配賦計算にも利用できる。サマリーレポートは実行ログを基に作成は可能だが、生成、管理者への送信といった機能は別途開発が必要である。

 見積金額は、初期費用がハードウエア、ソフトウエア、EAIライセンス費用の合計で1205万円から。構築費用が550万円から。月額費用は、ハードウエア保守費用が80万円/3年から、ソフトウエア保守費用が126万円/年からである。