ビジネス環境の変化や事業戦略の変更に即応するため、利用部門が自らシステムを開発・改修する「EUC」のニーズが再び強くなっている。このニーズに応えるのが、ノンコーディングで単純なアプリケーションを開発できる「カンタン開発ソフト」である。
「EUC(End User Computing)のニーズは根強く、最近さらに高まっている」――。ジャストシステムの星 雅人氏(エンタープライズ事業部 企画部 セクションチーフ)はこう指摘する。
理由の一つは、アプリケーション開発の短納期化の要望がさらに進んだことだ(図1)。ビジネス環境の変化や事業戦略の変更に即応してアプリケーションを用意することが求められており、「3日後までに開発してほしい」といった急を要する案件も珍しくない。
こうした要望に応えるには、システム部門やITベンダーが一つひとつアプリケーションを開発するのは無理というもの。利用部門に自らアプリケーションを開発してもらうこと、つまりEUCが、現実的な解決策の一つである。
このEUCのニーズに応える新しい開発ソフトやPaaS(Platform as a Service)が、2011年の夏以降、続々と登場している。サイボウズのPaaS「kintone」、米Microsoftの開発ソフト「Visual Studio LightSwitch」、ジャストシステムの開発ソフト「UnitBase」などがそれだ(表1)。このうちUnitBaseは、今年2月に新バージョン(2.0)が登場した。
これらのソフト・PaaSに共通する特徴は、単純なアプリケーションの開発に用途を絞り、スクリプト言語やマクロも使わないノンコーディングでの開発を実現したことだ。プログラミング経験の乏しい利用部門でも単純なアプリケーションであれば開発できるのに加え、ITエンジニアにとっても短期間で開発できる利点がある。いわば「カンタン開発ソフト」である。