今までERPシステムはできるだけノンカスタマイズで導入すべきとしました。それでは大規模なカスタマイズを必要とするようなシステムが必要になった場合どうしたらいいのでしょうか。
残念ながら、これにはまだ「これが正解だ」といえるものはありません。 大企業の情報システム部門の中には、開発生産性の高い開発ツールなどを利用して自社開発に取り組んでいるところもあります。また、IBMがAS400で広めたRPGIIIという開発生産性の高い簡易言語を手放せない中堅企業もかなりの数残っています。
しかし、早く安くスクラッチ開発するための決め手になるような手法はまだ一般化していません。試行錯誤段階といった状況です。
そんな中で、最近筆者が注目しているものに、「Sapiens」や「iRYSHA」などのいわば「フルカスタマイズ型ERP」といえるようなアプリケーション基盤があります。
例えば、Sapiensには、一般的な業務システムで用いる業務処理ルーチンがあらかじめ組み込まれており、利用者はSapiensの知識ベースに処理方法を設定する形でシステムを構築していきます。実装した内容はプロトタイプとしてすぐに確認できますので、要件定義の検証も簡単にできます。
ただし、イスラエルのサピエンスインターナショナル社は、Sapiensを開発ツールとしてではなく自社のソリューションビジネスの提供基盤としてとらえているため、サーバ版の価格は非常に高く、Windows版を導入するだけでも2000万円近くしますが、今ではクラウドサービスとして安価に利用することが可能となっています(注)。