スマートフォン/タブレット端末の企業導入の本格化に伴い、「端末設定・機能制限の厳格化」「管理業務の効率化」というニーズが顕在化してきた。端末の管理業務を支援するモバイルデバイス管理サービス/ソフトは、アプリの制限、端末OSの機能拡張、端末のグループ化による管理で、ニーズに応えている。

 スマートフォン/タブレット端末の企業導入が進み、モバイルデバイス管理(MDM)という業務が必要になってきた。このMDM業務とは、スマートフォン/タブレット端末というモバイルデバイスを対象に、情報漏洩を予防したり、紛失・盗難が起こったときに事後対策を講じたりすることである。

 このMDM業務において、「端末設定・機能制限の厳格化」や「管理業務の効率化」という二つのニーズが顕在化している(図1)。

図1●モバイルデバイス管理(MDM)業務におけるニーズ
モバイルデバイス(スマートフォン/タブレット端末)に対するセキュリティリスクの高まりや、端末数の 増加、用途の拡大によって、端末設定・機能制限の厳格化や管理業務の効率化が求められている
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 端末設定・機能制限の厳格化は、紛失・盗難や不正プログラムによる情報漏洩リスクの高まりが背景にある。端末OSのセキュリティ設定を初期状態より厳しくする、端末アプリや端末の付加機能を管理対象に含めて、それぞれに機能制限を行う、といったことが求められている。

 管理業務の効率化は、管理する端末数の増加や、用途の拡大が背景にある。多数の端末のセキュリティ設定を用途ごとに変えても、管理業務の負担を増大させないようにすることが必要になっている。

 これらのニーズに応えるMDM業務の支援サービス/ソフトが登場している。ここでは、代表的なMDMサービス/ソフトのなかから四つを取り上げる(表1)。アイキューブドシステムズが提供するMDMサービス「CLOMO MDM」、KDDIが提供するMDMサービス「KDDI 3LM Security」、米McAfeeのMDMソフト「McAfee Enterprise Mobility Management」、インヴェンティットが提供するMDMサービス「MobiConnect for Business」である。これらのMDMサービス/ソフトは、「(1)アプリの制限」「(2)端末OSの機能拡張」「(3)端末のグループ化による管理」という三つの機能によって、上記の現場ニーズに応えようとしている。以降で、それら三つの機能に分けて見ていこう。

表1●この記事で紹介したMDMサービス/ソフト
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 なおMDMサービスとソフトでは一長一短がある。MDMサービスは、MDM業務を支援するツールをSaaS(Software as a Service)として提供する方式で、比較的短期間で利用を開始できるのが利点だ。MDMソフトは管理業務を支援するツールを社内システムとして構築するための製品で、社内の他システムと連携する仕組みを実現しやすいのが利点である。

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