Windows 10の大型アップデートである「October 2018 Update(Windows 10 1809)」の配布が、2018年11月13日(米国時間)に再開された。本特集では、October 2018 Updateの変更点について5回に分けて見ていく。ここからは、過去のバージョンと比較しながら解説するため、開発コード名「Redstone 5(RS5)」の呼称で紹介していく。

年2回の機能アップデート

 今回のRS5は、2018年10月2日に配布が始まった後、アップデートを適用したPCからファイルが消える問題が発生した。米マイクロソフト(Microsoft)はその週のうちに配布を停止。同社が不具合を修正し、配布を再開したのが2018年11月13日(米国時間)となる。

 今回の問題で、機能アップデートをいつ適用したらよいか不安になった読者も多いことだろう。ここで機能アップデートの配布タイミングについておさらいしておこう。

 Windowsの機能アップデートは年2回、4月と10月に行われる。機能アップデートの配布には、主に以下の2つのタイミング(フェーズ)がある。

  • 「Semi Annual Channel(Targeted)」または「半期チャンネル(対象指定)」(以下SAC-Tと表記)
  • 「Semi Annual Channel」または「半期チャンネル」(以下SACと表記)

 このほか、LTSC(Long Term Servicing Channel、長期サービスチャンネル)と呼ぶものもあるが、この場合は機能アップデートが適用されない。

 SAC-Tは、機能アップデートの完成直後から配布が始まる。一方のSACは、SAC-Tを配布した後、何回かの品質アップデートを経て、マイクロソフトが十分に安定したと判断した品質アップデートのタイミングで配布が開始される。今回問題が発覚したのはSAC-Tだった。

 HomeエディションではSAC-Tしか選べず、いや応なしに新バージョンがインストールされるのに対して、Pro、Enterprise、Educationエディションでは、SAC-TかSACのどちらかを選択できる。

 2つの配布タイミングがあるのは、より安定した機能アップデートを導入したい企業などのユーザーを想定して、SACを設けたからだ。

 これまでもSAC-Tで大規模な配布が始まってから、致命的な障害が見つかったことがある。

 実際、こうした問題が起こったとき、同時期にインストールするように設定した企業内のPCでは、大規模な障害が発生することが想定される。企業ユーザーとしては、SAC-Tの後に何回かの品質アップデートを経て、大きな問題がないことを確認できたタイミングで組織内のPCの更新を始めることが望ましい。そのタイミングがSACというわけだ。SAC-TからSACまでの期間は、企業内の独自アプリケーションなどを検証するための期間でもある。

 ただしマイクロソフトは今後、SACの配布タイミングを変更する予定だ。現状では、SACのリリース開始以前に、その配布開始日を正確に知ることはできない。SAC-Tリリース後の4カ月以内に実施される品質アップデートをSACとして指定していたからだ。

 これに対して将来的には、機能アップデートのリリース日から起算して特定の日数後にSACの配布を開始するように変更する予定だ。ユーザーはSACの配布開始日が事前にわかるようになる。ちなみに、この変更に伴ってマイクロソフトはSAC-Tを廃止する意向である。

 とはいえ、「変更の方向性」が公表されただけで、具体的にいつからどうするのかは明らかとなっていない。マイクロソフトの公式ページなどでも、変更について明確に記載しておらず、今のところ機能アップデートの配布タイミングは従来のままのようだ。

 こうした背景があるからか、マイクロソフトはRS4以降、新バージョンの配布開始日時を事前に公表していない。今回は、2018年10月2日(米国時間)にマイクロソフトがSurfaceシリーズの新製品を発表したのと同時に、RS5の配布開始がアナウンスされた。

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