自治体のデジタル化はどこまで進んでおり、何が課題なのか。都道府県CIOフォーラムが第16回年次総会を2018年8月21~22日、富山市で開催した。初日は、セキュリティ強じん化後の働き方改革とテレワーク・モバイルワークの推進方法や課題を議論。2日目午前は都道府県に策定が義務付けられた官民データ活用推進計画の策定方法と重点施策について、午後は都道府県システムを将来的に共同化・クラウド化する可能性について意見を交換した。

 2日目午後は、都道府県システムの共同化・クラウド化の将来のイメージについて意見を交換した。

 事前アンケートでは、自治体情報セキュリティクラウドは、市町村との共同化が大半で、単独整備が1団体、2県で共同化したのが岡山県と鳥取県だった。庶務・人事・給与、財務など内部業務系は、全都道府県が単独で構築。LGWAN-ASPの利用が多かったのは、電子申請(24団体)と電子入札(15団体)だった。

 一方、目指すべき姿では、個人番号利用事務、法定受託事務、法令に基づく自治事務では、半数程度の団体が「全国規模で共同化すべき」と答えた。ただし個人番号利用事務については、10団体は自治体ごとの整備を選んだ。現状で全団体が単独整備の内部事務系でも、3割強は共同化・クラウド化を指向。Web会議・テレビ会議は、団体ごとのSaaS利用が15団体と最多だった。

次のセキュリティクラウドは?

 このアンケート結果を踏まえ、LGWAN-ASPに向くシステム、向かないシステムについて議論した。神奈川県の市原氏は、「セキュリティクラウドは、今回はほとんどの都道府県が個別に構築したが、全国で一つにできないかと当初から提案している。LGWANは自治体が負担金を支払って運営しているので、第四次LGWANの整備計画で検討課題になるかを知りたい」と尋ねた。

 J-LISの伊駒氏は、「セキュリティクラウドをLGWAN上、またはLGWAN-ASPとして、全国で利用できる形で提供することに関して、神奈川県の提案は意識している。現状で具体的に取り組んでいることはないが、10団体程度から要望がある。今後検討したい」と答えた。

 関連して総務省の三木氏は、「地域情報政策室で検討している段階。2018年度の調査事業でいくつかのモデルの長所・短所を検討したい。来年度にどのモデルにするかを本格検討する。性急なスケジュールだが、次回の2022年度の更新に間に合わせる」と、状況を報告した。

 三木氏は続いて、ソフトウエアライセンス認証やウイルス対策ソフト更新をLGWAN-ASPとして提供する「自治体情報セキュリティ向上プラットフォーム」の予定も紹介した。「総務省が国費で作ったソフトをJ-LISに移管する省内手続きが最終段階。10月からJ-LISで事業を開始できるだろう。修正パッチの配信対象ソフトは、Windows Update、Microsoft Office、ウイルス対策ソフト(トレンドマイクロ、マカフィー、シマンテック、ソフォス、エフセキュア)。カスペルスキーなど更新サービスを無料提供しているものは除いている。利用状況や要望に応じて追加や除外はあり得る」(三木氏)。料金は都道府県と市区が年額15万円、町村が同10万円で、「民間サービスの数分の1の設定」という。

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