写真 BWAカンファレンスにおける事業者ヒアリング。左は総務省と学識経験者。右は通信事業者の代表。免許取得希望事業者が多いため,3回に分けてヒアリングを実施した
写真 BWAカンファレンスにおける事業者ヒアリング。左は総務省と学識経験者。右は通信事業者の代表。免許取得希望事業者が多いため,3回に分けてヒアリングを実施した
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 総務省は12月5日,2.5GHz帯周波数の免許方針の参考とする「BWAカンファレンス」を開催し,免許の取得を希望する通信事業者など14社・団体からのヒアリングを実施した(写真)。内容は,採用を予定する技術方式,サービス内容,需要見込み,サービス展開計画,割り当てを希望する周波数の幅など。総務省は,今回のヒアリングを参考に2007年2~3月ころまでに免許方針案を作成し,2007年夏ころに免許を付与する事業者を決定する。

 2.5GHz帯は,通信速度が20M~30Mビット/秒以上の高速なモバイル通信サービスを導入する予定の周波数帯。技術方式としてはモバイルWiMAX,IEEE 802.20(MBTDD-Wideband),IEEE 802.20(MBTDD-625k MC),次世代PHSの4種類が候補になっている。技術的条件に関する検討はすでに一部が完了しており,12月下旬にも情報通信審議会が答申を出す見通しだ(関連記事)。

 今回のヒアリングに登場した事業者と団体は,(1)IRIユビテック,(2)アライドテレシスホールディングス,(3)ドリームダイレクト,(4)新潟県,(5)三菱総合研究所,(6)アッカネットワークス,(7)イー・アクセス,(8)NTT東日本,(9)NTT西日本,(10)日本ケーブルテレビ連盟,(11)KDDI,(12)ウィルコム,(13)NTTドコモ,(14)ソフトバンクの14社・団体(発表順)。採用を予定する技術方式としては,ウィルコムとソフトバンク以外はモバイルWiMAXを選択した。ウィルコムは次世代PHS,ソフトバンクは未定とした。

 ヒアリングではさまざまな意見が出たが,免許方針への影響が大きそうな論点は二つ。一つは,免許を全国単位にすべきか市町村単位にすべきかという問題。もう一つは,1事業者に割り当てる周波数幅をどのくらいにするかという点だ。

 一つめの論点は,通信事業者が目指すビジネスモデルを大きく左右する。IRIユビテックやアライドテレシスなどは,デジタルデバイド対策への活用を提案。市町村など細かい単位での免許付与を求めた。一方,東西NTTなど都市部中心に展開する固定ブロードバンド事業者や移動体通信事業者は,全国単位の免許付与を求めた。

 二つめの割り当て周波数幅については,10MHz単位にすべきという点で各社とも見解が一致したが,1事業者に割り当てる周波数幅では意見が分かれた。1事業者に割り当てる周波数幅を大きくするほど周波数利用効率は高まるが,参入できる事業者数が減るからだ。KDDIの伊藤泰彦・代表取締役執行役員副社長が「将来的な高速化を考えると1事業者に30MHzを割り当てるべき。周波数を分割するほど高コストになる」と主張したのに対し,ソフトバンクテレコムの弓削哲也・専務執行役員CTOは「理屈としては分かるが,割り当て可能な周波数が80MHzしかない中で1事業者に30MHzを割り当てるのは難しいのではないか」と反論する一幕もあった。

 ほかにも,免許割り当ての条件をどのように設定すべきか,競合した場合にどのように事業者を絞り込むべきか,採算が厳しい山間部や離島における採算性をどう確保するか,といった点についてヒアリングが実施された。

 本日のヒアリングで各社が説明に使用した資料は,今週中に総務省のWebサイトで公開される予定だ。