マイクロソフトの携帯機器用OS「Windows Mobile」を搭載した高機能PHS端末が、間もなくシャープから発表される見込みだ。通信事業者はウィルコムになる公算が大きい(速報参照)。これによりマイクロソフトの日本での携帯電話戦略がようやく本格的に動き出すことになる。

 マイクロソフトは現在、欧米を中心に「Windows Mobile-based Smartphone」と呼ぶ製品戦略を展開している。これはOSにWindows Mobileを採用し、各種のインターネット活用ソフトなどを搭載した高機能な携帯電話のこと。具体的には、Webブラウザー「Internet Explorer」や音楽・ビデオ再生ソフト「Windows Media Player」などの機能を提供。また、個人情報管理ソフト「Outlook」を備え、電子メールやスケジュール、連絡先管理の機能を利用できる。携帯電話のデータをパソコンのOutlookのデータと同期させられるのも大きな売りの一つだ。

 今回発表される新製品は、Windows Mobileベースのスマートフォンだが、キーボードなどを付けた、いわば「通話機能付きの携帯端末」になる模様。パソコンとの連携機能などを充実させ、まずは、大きさも機能も、日本国内での実績も豊富なWindows携帯端末(PDA)と、携帯電話の中間に位置付けられる製品として提供される見込みだ。その点、今回の製品開発のパートナーとなるシャープは、「ザウルス」という日本で最も普及している携帯情報端末を開発しているメーカーだ。通信事業者のパートナーとなるウィルコムは、携帯情報端末利用の中心層であるビジネスユーザー向けのサービスを広く展開している。
 ただ、マイクロソフトは、その形状や搭載ソフトの違いから、この製品を「Windows Mobile-based Smartphone」としては扱わないようだ。とはいえ、今回の新製品は、同社が最終的に目指す「Windows Mobile-based Smartphone」への足掛かりになる製品といえるだろう。

 同社が日本でスマートフォンを本格展開していくことは2つの点で注目される。

 1つは、携帯電話市場の変化だ。この先、本格的な情報管理機能を持った携帯電話として「Windows Mobile-based Smartphone」が普及するとなれば、PDA市場はもちろん、モバイルノートパソコンなども少なからず影響を受ける。

 2つ目は、マイクロソフトが悲願の携帯電話市場への進出を果たせるかどうかだ。同社は携帯電話への進出で出遅れた。しかし、携帯電話の利用シーンが広がるにつれ、パソコンとの連携機能やWebアクセスなどの各種の情報管理機能を備える必要性が高まっている。仮に今後、ユーザーがパソコンとの連携機能などを重視して携帯電話を選ぶようになれば、「Windows Mobile-based Smartphone」が入り込む余地はある。同社は、NTTドコモなどを含む他の携帯通信事業者へ積極的にアプローチしていく考えだ。