(高橋基信=MVP Windows - Networking

 2004年4月5日~7日までの3日間,Microsoftの本社がある米国シアトルにて,全世界のMVPを対象としたイベントである「MVP Global Summit 2004(以下,MVPサミット)」が開催された。このイベントに日本から参加したので,その会場の雰囲気をレポートしたい。


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Welcomeバナー
このような立て看板や横断幕があちこちにあり,会社を挙げてのイベントであることが改めて実感された。

Microsoftに認められたプロフェッショナル"MVP"
 MVP(Most Valuable Professional:最も価値のある専門家)とは,Microsoft社が世界各地のコミュニティで顕著な活動を行っていると認めた個人に対して付与する年間表彰(Award)である。MVPはWindowsのNetworking,Windows ServerのDirectory Services,Office SystemのExcelといった,対象とする製品や分野のカテゴリごとに表彰される。現在のカテゴリの一覧と,カテゴリごとの表彰者はWeb上で参照できる(該当サイト)。ちなみに,筆者の場合はWindows - Networkingのカテゴリである。

 MVPに認められると,ソース・コードへのアクセスなども含めた,各種の非公開情報や一般公開されていないベータ版にアクセスする権利が与えられるほか(関連ニュース),各種のパスを通じてMicrosoft社の技術者と直接にコミュニケーションして,製品に関する要望や意見などを交換することが1年間に渡って可能となる。なお,筆者はオープン・ソースのソフトウエアであるSambaの開発にかかわっていることもあり,ソース・コード閲覧の権利は行使していない。

 一方,Microsoftとしては,こうしたMVPからの声を各種の製品やサービスに反映することで,直接的な品質向上に役立てるとともに,コミュニティとの共存をアピールすることで,企業イメージの向上も図っていきたいと考えているようだ。

 今回のMVPサミットでも,そうした意図は随所に感じられている。

Microsoftの製品開発者と気さくに議論
その場で次期製品の方向性が決まることも

 初日と3日目は,基本的にMVPおのおののカテゴリごとに数人~数十人単位でMicrosoft社側の対応する部門が主催する各種セッションやディスカッションが開催された。技術的内容はNDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)の対象なため公表できないが,いわゆる講義形式のセッションといってもスピーカーからの話は割り当て時間の半分程度で,その後はMVPとMicrosoft社のエンジニア,もしくはMVP同士で活発な質疑や討論が行われるといった形式であり,どちらかといえばインターネット業界の会合によくあるBOF(Birds of Feather)に近い。

 例えば,筆者が3日目に参加した「Windows Server - Directory Service」の「Future scenarios: Health\Monitoring\Troubleshooting\Tools(DNS/WINS)」というセッションでは,Microsoft社が次期バージョンで追加/修正を検討しているDNS/WINSに関する機能について,MVPとMicrosoft社側のエンジニアとが対等の立場でディスカッションをして,実際にその場で方向性が決定づけられた内容もあった。


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精力的な講演を行ったMicrosoft CEOのスティーブ・バルマー氏
Photographs courtesy of Microsoft Corporation

 なお,2日目はExecutive Dayと称して,CEOのスティーブ・バルマー氏(写真)やプラットフォーム担当の副社長であるジム・アルチン氏をはじめとするMicrosoftの経営幹部が代わるがわる登壇して講演を行った。内容については,やはりこれもNDAのため公開できないが,とにかくアクティブに行動し,新しいことをしていこうという気概を強く感じた。

海外のMVPとインターナショナルなつながりができる
 また,メイン会場では無線LANによる自由にインターネット接続できる環境が用意されていたほか,食事やホテルからの移動もすべてMicrosoftが用意している。そういった点では,毎年日本でも開催されているTechEdに通じるものがある。もちろん,食事の場はMVPとMicrosoft社員とが気軽に話をする場でもあり,MVP同士のオフラインでのコミュニケーションも活発に行われた。残念ながら,筆者は英語力不足もあって,そうした会話になかなか参加できなかったが,それでも何人か外国のMVPの人やMicrosoft社の方との知り合いができた。普段なかなか直接会って話す機会のない各国のMVP同士が出会う場としても大きな意味を持っていると感じた次第である。


食事の様子
各国のMVP同士でオフラインのコミュニケーションも活発に行われた。なお壁にはMVP出身国の国旗が掲げてあった。