「the Microsoft Conference 2003」は,阿多親市社長の基調講演と,36の専門セッションが開かれた。1日目のセッションでは,10社のユーザー事例が扱われた。そのうち「大塚商会」と「ニッセン」のWindows Server 2003導入事例に関しては,当サイトでも取り上げる(該当サイト)。ユーザー事例の中で特に目立ったのは,マイクロソフト自身のユーザー事例で,3つのセッションにまたがる念の入ったものであった。製品をまず自らが徹底的に使う姿勢,つまり同社の社内用語で「ドッグフードを食べる」中から得られた経験を披露した。 「日本にはCIOはいない」 講演では,セキュリティの構成から,大手町にあるデータ・センターの中まで,かなり細かいレベルまでを紹介していた。他にも,同社が開発中のグループウエア新版「Exchange Server 2003」をいち早く展開したシステムの構成が紹介された。ExchangeのOMA(Outlook Mobile Access)の機能を使うことでPDAと同期を取ったり,スパム・メールの8割をカットしているという。 初日の最後は,阿多社長による基調講演で盛り上がった。古い衣を脱ぎ捨てた新しいWindowsがどのような進化を遂げていくかを,具体的かつ大量のデモを交えながら徹底的に展開した講演だった。 阿多社長は“Windows NT誕生10周年”を迎えて,今までの10年とこれからの10年を展望した。パソコンを1人1台保有するようになり,さらに5593万人がインターネットに接続する時代を迎えた。この間,Windows NT ServerやWindows 2000 Serverは,時代の要請に合わせた形で進展してきた。NT Server 3.1は部門サーバーあるいはクライアント・サーバー型のサーバーとして,Windows NT Server 4.0はEコマースやWebに対応し,Windows 2000 Serverではインターネット時代の要請に合わせた機能を提供してきた。 これからの10年の展望として,PCの処理能力の向上だけでなく,無線LANやICタグといった新たなユビキタスの分野も非常な勢いで伸びている。それに合わせて,Windows Server 2003を核として,常に時代に合わせた新しいソフトウエアを提供していくというメッセージを,阿多社長は様々な資料を引用しながら確認していった。企業のIT投資に対して,厳しい環境を強く意識した発言もあった。ITへの投資額を増やす企業は希であり,IT部門のコストが今後5~20%減少すると見込む企業が多いという。これからの10年は,効率的/戦略的な投資が必要となる時代であると強調した。 端的にいえば,Windows NT Server 4.0は時代遅れということなのであろう。古い枠組みを前提として作られたWindows NT 4.0を使い続ければ,サーバーが増加/散在し,これによるリスク/コスト/作業負荷が問題になる。費用対効果の高い投資を行うためには,ヘルプデスクの導入や自動化など徹底した集中化が必須となる。NT 4.0では14時間だった年間ダウン時間が,Windows Server 2003で1.8時間と,約8分の1に減少するなど,信頼性向上によるメリットを受けられる。しかも,より少ない人員とコストで,より大きな仕事でより大きな利益をあげていくには,分散から集中管理にする必要がある。そのためにActive Directoryによるシステム管理の重要性を強調する。 DSI構想の基盤となるADS機能を |
「the Microsoft Conference + expo 2003」レビュー p2
阿多社長,基調講演でWindows Server 2003を総括
Win2003登場に合わせて,ISV24社が認定取得製品をデモ
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