「the Microsoft Conference + expo 2003」レビュー 続き

 他にも基調講演では,数多くのデモンストレーションがその場で行われた。目立ったものを挙げると,(1)64ビット・プロセッサItanium 2を搭載したNECの「Express5800/1000シリーズ」上で,64ビットのWindows Server 2003とSAP R/3を運用,(2)VSS(Volume Shadow-copy Service)を使ったバックアップ,(3)無線LANにおいてセキュリティを確保できるRADIUSやEAP-TLS(Extensible Authentication Protocol-Transport Level Security)を使った認証ベースのアクセス制限,(4)Office 2003のWordで,XMLスキーマとマッピングさせたドキュメントの作成,(5)SharePoint Server 2003によるWebサーバーとブラウザを使ったドキュメント共有――などがあった。元々2時間半と長めの予定であったが,それをさらに約30分延長するほど力がこもった精力的な基調講演であった。

豊富なデモでWindows Server 2003の新技術を紹介
 2日目のセッションは,「インフラストラクチャ」「インフォメーション・ワーカー・ストラクチャ」「アプリケーション・プラットフォーム」の3つに分けられて開催された。インフラストラクチャではWindows Server 2003,インフォメーション・ワーカー・ストラクチャではOffice 2003,アプリケーション・プラットフォームではVisual Studio .NET 2003と,それぞれ話題になる製品を中心にして取り上げられた。いくつか主だったものを紹介しよう。

「NT 4.0ドメインからWindows Server 2003 Active Directoryへの移行のメリット」
 NT 4.0からActive Directoryへ移ることのメリットを述べ,Windows Server 2003の新しいツールである「RSoP(ポリシーの結果セット)」や「GPMC(グループ・ポリシー管理コンソール)」のデモを実施していた。

「IIS 6.0: 止まらないセキュア&ハイパフォーマンスWebサーバー」
 従来のIIS 5.xとの違いと絡めて,(1)IIS 6.0のアーキテクチャの大幅刷新,(2)HTTPリクエストをカーネル・モード上で動作するHTTP.sys,(3)Webアプリケーションのメモリー・リークなどの問題に対処するプロセス・リサイクリング機能,(4)セキュリティ・レベルの向上やXML形式のメタベースへの移行による管理性の向上――などを解説していた。特に堅牢性を強調するため,実際にアプリケーション保護違反やメモリー・リークを意図的に発生させても,利用者へのサービスが停止しない様子をデモしていた。

「ユビキタス ブロードバンド環境でのセキュア アクセスの実現」
 無線LANユーザーの37%がセキュリティ上の対策を施していない実情を示し,基調講演でも触れられたRADIUSやEAP-TLSを,Windows Server 2003で構築するデモを実施した。

「効率的なサーバーの展開/運用/保守を実現する Windows Server 2003」
 WindowsとUNIXのプラットフォームのそれぞれに対して,IT投資額とそのうちの管理コストを具体的に示し,IT投資の約半分が管理コストにかかっていると強調する。基調講演でデモしたADSを改めて取り上げた。他にもWindows Server 2003における管理機能であるWSRM(Windows System Resource Manager)の管理や,豊富になったコマンド・ラインによる管理,そしてApplication Center 2000をWindows Server 2003に対応させるService Pack 2などが紹介された。

「Windows Server 2003 & Visual Studio .NET 2003 :アプリケーション・サーバーの実力」
 新しい開発環境Visual Studio .NET 2003と合わせて,アプリケーション・サーバーとしての視点から見たWindows Server 2003の様々な機能が解説された。新しく搭載された.NET Framework 1.1では,モバイルWebフォームの搭載により携帯電話などに対する動的コンテンツの生成や,IPv6対応,ADO.NETのデータ・プロバイダによってOracleやDB2などがサポートされる。そして,最後にWindows Updateでのファイル自動配信でも使われているBITS(Background Intelligent Transfer Service)1.5と呼ばれるサービスが紹介された。BITSはネットワークやシステムの負荷が低いときを選んで自動的にファイルを送れるもの(該当サイト)。会場では,ファイル転送の途中でLANケーブルを抜いて,ケーブルを戻すと自動的に続きからダウンロードがバックグラウンドで再開されるというデモを実施していた。