(Mark Joseph Edwards)

 私はハードディスク内のデータを完全に消去する方法について書いた(該当記事1該当記事2)。そこで,データ消去の方法を募集したところ,読者の方々から多数の反応をいただいた。今回は,それらを紹介しよう。

高熱処理で磁性を破壊
 2人の読者は,ディスクを高い温度まで加熱することでプラッタ(ハードディスク内部の回転するお皿)の磁性を破壊するのに役立つだろうと教えてくれた。そのうちの1人は,大学で働く人々はこのコンセプトが物理実験室で学んでいる学生向けの面白い実習になると思うかもしれないと付け加えてくれた。

 別の2人の読者は,時間と金の双方でとても経済的なアイデアを示してくれた。彼らはドライブを油圧プレスで押しつぶすことを提案してくれた。1人は,近くの機械工場にその作業をしてもらう契約を結んでいるという。彼はドライブが押しつぶされる間待機している。1回当たりの持ち込みコストは,100ドル未満だ。

 もう1人の読者は,ソフトウエア・ツールで最初にディスクのデータを消去してから,地元の自動車廃棄処理工場へ持ち込んでいる。廃棄処理工場の作業者は,ビールと引き換えでそのドライブをつぶしてくれるのだ! つぶされたハードディスクは,複数の山に分けられて,ごみ捨て場やリサイクル処理場で処分されるはずだ。

 別のアイデアは,ドライブを破壊するために酸素アセチレン・カッティング・トーチか,アーク熔接機を使うというものだ。この手のアプローチは確実にデータを破壊するだろうが,だれがその作業をするかによってかかる時間と金が高くつく可能性がある。そして1人の読者が指摘したように,焼けているドライブ・コンポーネントからは有毒なガスが出る可能性がある。

HDDに釘を刺す
 さらに別の読者は,ドライブに釘を打つという方法を提案してくれた。私もその方法はうまくいくと思うが,数百台のドライブを処理するとなると,かなりの作業量になる。

 斬新な解決策は,シュレッダを使う方法だ。ある読者は,文書をオンサイトでシュレッダにかけるサービスを提供している会社と契約しているという。そのシュレッダがほかのものを切り刻む能力のデモとして,この会社は古いノートPCを指先の爪以下のかけらに切り刻んでみせたのだ! この読者はほかにシュレッダを使う必要があって,その会社と既に契約を結んでいたので,古いディスクを破壊してもらうための追加料金は払っていないという。

 だれか他の人が再び使えるようにあなたのハードウエアをリサイクルしたいと考えてはどうだろう? ある読者は,米Retro Boxのようなコンピュータのリサイクル処理会社を利用することを提案した。同社は無償であなたの古いシステムを収集し,国防総省の要求仕様を満たす技術を使い,そのドライブから全データを消去してくれる。Retro Boxはその後で改造したシステムを売り,あなたの会社に収入の一部を返すのだ。あなたのポリシーや必要によっては,これは合理的なソリューションになるだろう。

データを暗号化して消去作業を不要に
 最後に,別の読者はデータにアクセスするためにハードウエア・ベースのカギを必要とするデータの暗号化ソリューションを使ったらどうかと提案した。例えば「SecureIDE」のようなもので,カギがなければ,理論的にはデータへアクセスできない。これは多くの現場に適したソリューションで,ソフトウエア・ベースのカギを使うデータ暗号化技術も同じである。

 以上の面白いソリューションを教えてくれた読者の方々,みんなに感謝する。