Windows Longhornへの道 今分かっているすべて  続き


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図2●モジュール化が進んだLonghorn

新コンポーネント技術が魔法を発揮する
 以前のデスクトップやサーバーのWindowsとは違った意味で,Longhornは完全にコンポーネント化され,論理的にいくつかのビルディング・ブロックに分解されている(図2)。むしろ,OEMメーカーが組み込む時のようなWindows XP Embeddedに近い。コンポーネント化された手法では,エンドユーザーとIT管理者は簡単にどのアプリケーションとサービスをWindowsでインストールするか正確に指定できる。

 Longhornの新しいモジュール方式は,(1)Longhornの作成,(2)エンドユーザーによるインストール,(3)コーポレート・セッティングの配備,(4)サービス・パックとホットフィックスの長期にわたるアップデート方法――の4つに対して決定的な影響を及ぼす。どのような影響を及ぼすか順番に見てみよう。

 第1の「Longhornの作成」は,いろいろなEditionを作るとき,Microsoftとそのパートナに便利なようになっている。最も下のレベルは,「基本OSコンポーネント」と呼ぶもので,Longhornの全コード・ベースのおよそ95%に相当する。この基本OSコンポーネントは,言語から完全に独立していて,Microsoftが作るLonghornのすべてのEditionのサブセットである。

 Microsoftとパソコン・メーカーは,実際のLonghornの各Editionを作成するために(小売業用語にならってLonghorn「SKU」と呼ぼう。SKUは在庫管理を行うときの管理単位),この基本OSコンポーネントを使う。例えば,「Windows XP Home Edition」に相当する部分「SKU #1」(名前が多分変わるだろう)を作るために,Microsoftやパソコン・メーカーは,単に一組のコンポーネントを基本OSに加えるだけでよい。すると,Longhorn SKU #1の出来上がりという訳だ。

 Longhorn SKU #2は,私たちが今日Windows XP Professionalと呼ぶものに相当する。これを作るには,単に「SKU #2」コンポーネントを基本OSに加えるだけだ。SKU #2が,SKU #1の正確なスーパーセットになっている。もちろん,これは現在のWindows XP Home EditionとWindows XP Professionalによる事例である。そして,Longhorn Tablet PC EditionとLonghorn Media Center Editionは,どちらもLonghorn SKU #2の上に作られる。

 他にも影響があるのは,Longhornリテール版とOEM CDが同一になることだ。OEM CDは,Dell,Gateway,IBMのようなパソコン・メーカーから,新しいPCとともに入手するCDである。従来,Microsoftはおのおののバージョンのために,別々のビルドを維持した。しかし,そのために特定の国に対する製品をリリースする際に,遅延を引き起こした。今度の「CD統一」によって,遅延なく1つのRTM CDを出荷する。OEMパートナは以前のようにOSに商標を付けることができ,拡張できる。リテール・バージョンは,Microsoftの製品に商標を付けのと同時に出荷する。しかし,2つの製品は,同じものだ。

インストールは15分で終わる!
 第2の「エンドユーザーによるインストール」は,次のようなものだ。Microsoftはコンポーネント化手法を進めて,面白いことに,Longhornの基本OSコンポーネントの起動可能なディスク・イメージを作った。これは「WinPE(Windowsプリインストール環境)」と呼ばれる。この起動可能なディスク・イメージにより,従来のWindowsに存在した時間のかかるファイル・コピーとレジストリの準備を取り除かれる。これでユーザーは今までより,非常に速くLonghornをインストールできるようになる。

 Longhornセットアップでは最初,1つのディスク・イメージ・ファイルが,ハードディスクにコピーされ,それからシステムが再起動に入る。そして,システムはLonghornのコアの機能でミニチュアOSのWinPEを立ち上げる。ディスク・イメージは,出荷時にインストールされているので,起動はすぐだ。それからミニOSは,素早くハードウエア構成を正確に識別し,全面的に書き直されたプラグ&プレイのルーチンを実行し,デバイス・ドライバをインストールする。これでおしまいだ。Microsoftによれば,「Longhornの無人セットアップの目標は最初から最後まで15分未満」であるという。現在のWindows XPがインストールに,45~60分かかるのに比較すると素晴らしいものだ。