Windows Longhornへの道 今分かっているすべて 続き


企業内のOS展開の負担に自由度が増す
 第3の「コーポレート・セッティングの配備」は,企業のOS展開に新手法を提供する。LonghornのWinPEでは,SysprepというOS設定ツールの新バージョンが登場する。無人のインストールは,「unattend.xml」と名づけられたもので,従来の「unattend.txt」のXML版である。setup.exeとunattend.xmlを使うことで,Longhornの望みのカスタマイズが構築できる。

 これはDellのような,注文生産のシステムを実施する会社にとって大きなメリットになるだろう。2年後のDellのWebサイトを想像してもらいたい。あなたは,オンラインで好きなようにマシン構成をカスタマイズして,「すぐに購入」ボタンをクリックする。裏では,DellのWebサービスが,あなたのマシン構成に対応するように,カスタマイズされたunattend.xmlファイルを作成する。物理的なPCが完成してから“15分”で,システムにはあなたの正確なLonghorn構成がロードされる。従来の時間のかかるプラグ&プレイは不要。利用者データの長たらしい入力もなく,起動後のハードウエア検出もない。本当にわくわくするではないか。

 面白いことはまだある。Longhornの新しいモジュール化のおかげで,OSの国際バージョンの作りは劇的に改善される。過去の国際バージョンは,基本的にUS英語版から作られた。そして,ある程度のコード冗長を引き起こした。しかし,Longhornでは,コアOSコードとデータが言語的に完全に中立で,US英語と他の言語は基本OSで同列に扱われる。

 例えば,Longhorn Tablet PC Editionのフランス語版を作るには,基本OSコンポーネント,SKU #2コンポーネント,Longhorn Tablet PC Editionコンポーネントとフランスの言語コンポーネントなどをインストールするスクリプトが必要になるだけだ。これまでは,様々な言語が使われるヨーロッパでは,セットアップの際,ユーザーが使用言語を選択し,それから他言語のサポート・ファイルをすべて削除するというものだった。時間のかかるプロセスであり,顧客に無関係な多くのコードを途中でインストールする必要があった。それらの問題はLonghornで解決した。

サービス・パックは国際版に統一 Windows XP/2003向けのWinPEも登場
 第4の「サービス・パックとホットフィックス」は,Longhorn Service Pack 1を出荷する時に,かなりのメリットがある。従来のWindowsの国際バージョンのサービス・パックは,各国語で異なるSP1バージョンを意味した。しかし,Longhornでは,1つのSP1をリリースだけで,すべての国際バージョン向けになる。

 ただし,私は,言語または“SKU”に特有のアップデートが,依然として別にリリースされるのではないかと想像する。もちろん,ただ1つのアップデート・ターゲットを持つことはMicrosoftにとって劇的な単純化だ。企業全体でアップデートしようとしているIT管理者にとっても,管理が容易になる。

 関連したもう1つの変更は,古いOEMプリインストール・キット(OPK)が,Longhornデベロップメント・ツールキット(LDT)に取って代わられるということである。LDTはシステム・メーカーに前述のOSイメージと,その変更を作成するためのエンド・ツー・エンドのソリューションを提供する。

 LDTで作成されるOSイメージは,ダイナミックなもので,作成した後から新しいデバイス・ドライバやOSのアップデート,他のコンポーネントによって書き換えられる。パソコン・メーカーは,Longhorn SKU #1(Home Edition)を動かす特定のPC構成のために,ディスク・イメージを作るかもしれない。それから,単にSKU #2コンポーネントを加えて,Professionalのために第2のイメージを作成するかもしれない。重要なホットフィックスとサービス・パックを出荷する場合,それらのコンポーネントをOSのディスク・イメージに単純に加えるだけだ。

 Microsoftは,できるだけ早くシステム・インテグレータに,新しいLDTを受け入れさせたいので,WinPEの仮バージョンを早めに出荷するだろう。それは,Windows XPとWindows Server 2003をターゲットにしたもので,2003年後半に出るかもしれない。WinPEの仮バージョンは,将来のLonghornとのギャップを埋めるのに役立つ。仮バージョンは,企業ユーザーによって,OSのディスク・イメージに直接アプリケーション・ソフトを追加することで,DOSベースのツールに依存した状況から脱却する。Microsoft Officeの次期バージョン(Office 12)は,このテクノロジを使うはずだ。そして,私の聞いたところではLonghornと並行して出荷されるようだ。

 コンポーネント化は,ユーザーにインストールするものを選ばせるより,はるかに優れている。MicrosoftがLonghornで行おうとしているように,正しくインストールしようとするときは特にそうだ。