作り直されたWindows XP SP2ベータ 続き

 後半は,Windows XP SP2のベータ版に搭載されている新機能を紹介する。このXP SP2は,Microsoftが「セーフティ・テクノロジ」と呼ぶもののほぼ中心にあり,そのためこのリリースはバグ修正のコレクションを含むだけではなく,XP SP2はさらに新しい機能もどっさりと含むことになる。以下はXP SP2ベータ1の新機能のリストである。ただし,Microsoftは筆者に,このベータ版は完全なものではなく,将来のベータ版にはさらにほかの機能を追加するつもりだといっている。

新しくなったインターネット接続ファイアウオール
 XP SP2では,新バージョンの「インターネット接続ファイアウオール(Internet Connection Firewall:ICF)」がデフォルトで有効になっていて,今や双方向(すなわちインバウンドとアウトバウンド)に保護が働くようになった。ICFは,いくつか管理に関連した新機能を備えている。例えば,(1)フルセットの設定オプション,(2)グループ・ポリシーによるActive Directoryの管理機能,(3)ログオン・スクリプトとリモート管理の両方で使えるコマンド・ライン,(4)複数プロファイルのサポート――などがある。新バージョンのICFは,以前よりも早くブート・プロセス中に有効になるので,システムが完全に起動する前に,ネットワーク経由で侵入者が誤動作を狙うコードを挿入してくる可能性が排除された。

RPCの改良で
ネットワーク経由の攻撃から保護

 XP SP2はリモート・プロシージャ・コール(RPC)技術に磨きをかけており,遠隔地にあるリソースに接続されたXPマシンが攻撃される可能性を減らす。さらにXP PS2において,RPCは以前より低い優先度で稼働するので,誤動作を狙ったコードがあなたのシステムに居座って問題を起こす可能性を減らす。

IEはポップアップ広告のブロック機能
アドオン管理機能が付く

 XP SP2はいくつかの新しい特徴を備えた改善されたInternet Explorer(IE)を提供する。新しいオプトインのポップアップ広告ブロック機能があって,あなたがポップアップ・ウインドウのあるWebページにアクセスすると,その機能が働く。IEは,あなたがハイパーリンクをクリックして有効にしたポップアップはブロックしない。この機能は設定を変更できるので,もし必要なら信頼できるサイトのリストを作成できる。

 新しいIEはさらにWebサイトがある特定の機能を削除する子ウインドウを開こうとするのを阻止する。例えば,アドレス・バーやタイトル・バー,ステータス・バー,ツールバーが削除されたポップアップ・ウインドウを開くことはない。Microsoftは無理に開くどんなポップアップ・ウインドウでも,ユーザーが閉じられるようにこの機能を追加した。さらにスクリプトによって,タイトル・バーやアドレス・バーをディスプレイの最上部より上に持ってきたり,ウインドウのステータス・バーがディスプレイの最下部のさらに下になったりするようなウインドウの移動ができないようになっている。IEは不正なスクリプトや他の危険なWebダウンロードを阻止して,システムを危うくするのを防ぐ助けになるよう,ロック・ダウンされた新しいローカル・マシン・セキュリティ・ゾーンも備えている。

 MicrosoftはIEのアドオン・サブシステムもオーバーホールしたが,プラグインのメーカーにその製品を手直しするよう要求することになる。だが結果としてユーザーにとっては安全性がより高くなる。知らないうちにスパイウエアや不正なActive Xコントロールをインストールすることは以前よりももっと難しくなるし,そうしたプログラムを削除するのは,より簡単になるだろう。アドオン・マネージャはアドオンが原因で起きたIEのクラッシュも監視していて,不安定なアドオンをあなたが無効にできるようにする。多分一番大事な点は,IEのアドオン・マネージャが,完全に扱えるようになっていることだ。あなたはクラッシュ管理用のIEのオプションや,どのアドオンを許可するか,拒否するかをまとめて設定できる。

Outlook ExpressとWindows Messengerのセキュリティが向上
 XP SP2に付属するOutlook Expressは,電子メールを媒介とする攻撃がシステムに影響を与えないようにするより安全なデフォルト設定と隠れた危険な添付ファイルの隔離機能を含んでいる。Outlook Expressは,Office Outlook 2003にある優れた機能も受け継いでいる。デフォルトではHTML電子メール内の画像をダウンロードしないのだ。スパマーはあなたが彼らの電子メールを受けとったことを確認するため,HTMLイメージに追跡用の仕掛けを仕込むことがよくある。Outlook Expressと同様,XP SP2に付属するWindows Messengerは,安全でないかもしれない転送ファイルはすべて隔離する。

CPUの新機能を使ったメモリー保護
 何年もの間,驚くべき数のバッファ・オーバーラン・エラーがこれまでの様々なWindows破りの原因になっていた。Microsoftは悪名高い2002年のTrustworthy Computingコードの評価の際に,潜在する欠陥をすべて見つけ出して削除しようとしたが,まだ多くの問題が残っている。そこでXP SP2は,バッファ・オーバーランと戦うために,そもそも次世代Windows「Longhorn」(開発コード名)向けに設計されたいくつかの新しいセキュリティ技術を取り込んでいる。これらの変更のいくつかは,ソフトウエア・ベースで,すべてのXPユーザーを助けてくれる。残りは,最新のIntelとAMDのCPUすべてに組み込まれている「no execute(NX)」マイクロプロセッサ機能が必要である。NX機能は,アプリケーションのコードをデータから分離するために,コンピュータのマイクロプロセッサを使い,電子的な攻撃が記憶したメモリーに不正なコードを挿入できないことを保証する。

新しいWindows Update
 XP SP2はWindows Updateの最新版とも結びついている。これは自動的にすべての重要な更新を選択してインストールする便利なExpress Install機能を提供するものだ。あなたはソフトウエアの更新(例えば,Windowsムービーメーカー2やWindows Journalビューア)とシステムに依存するドライバを含めて機能を選択するために,新しいオプションの更新セクションも使えるようになる。XP SP2は,コンピュータの維持管理に関する技術をたくさん含むが,Microsoftは,将来それらを文書にするといっている。ベータ2のリリースは3月末と見ていい。新機能に関しては,それらが入手可能になるにつれてたくさんの情報を得られるだろう。

米国家安全保障局がWindows XPの
セキュリティ・ガイドラインを公開

 ちょっと関連のあるニュースとして,国家安全保障局(National Security Agency:NSA)が面白いリリースを出したことをお知らせしておきたい(該当サイト)。XPの安全性を高めるためのガイドを公開したのだ。そのサイトによれば,「Windows XPのユーザー・コミュニティを支援するために,NSAは専門的な知識を持ち大規模な技術の再評価をした他の政府機関や業界の協力を受けて,Windows XP用のセキュリティ設定のガイダンスを作った」という。Webサイトをチェックしてほしい。
(訳注:このガイドラインは2002年にリリースされたもので,新しいものではない。この件に関するフォローアップは「続報・作り直されたWindows XP SP2ベータ」(該当サイト)に載っている。)