リモート管理が当たり前になる
Windows Server 2003では,まずターミナル・サービスを利用したリモート管理が当たり前の使い方になる。従来のWindows 2000 Serverでは,どちらのモードで利用する場合もユーザーがターミナル・サービスを改めてインストールする必要があった(図2[拡大表示])。Windows Server 2003では,従来のリモート管理モードに相当する「管理用リモート・デスクトップ接続」がデフォルトでインストールされている(表1[拡大表示])。アプリケーション・サーバーとして利用する場合だけインストール作業が必要だ(図3[拡大表示])。
Windows Server 2003にはWindows XP Professionalで初めて搭載された「リモート・デスクトップ」機能も管理用リモート・デスクトップ接続とは別に搭載されている。つまりWindows Server 2003は標準で「管理用リモート・デスクトップ接続」の2セッションと通常の「リモート・デスクトップ」の1セッションを合わせた合計3セッションまで独立したデスクトップを遠隔操作できる。
リモート管理を支援するツールとして,管理コンソール(MMC)に[リモートデスクトップ]と呼ぶスナップインも追加された。このスナップインには複数のマシンに対するリモート・デスクトップ接続を登録・保存しておける。登録された接続のリストからマシンを選ぶだけでそのマシンのデスクトップに接続できるので,リモート・デスクトップやターミナル・サービスに対応した多数のマシンを管理するときに便利だ(図4[拡大表示])。
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サーバーのスケールアウトに対応
一方,アプリケーション・サーバーとしての機能は,スケーラビリティを向上させた点が目立つ。特に「Windows Server 2003,Enterprise Edition」以上のエディションに搭載する負荷分散機構が注目される。
図5●セッション・ディレクトリによるスケールアウト 複数のターミナル・サーバーでクラスタを構成したとき,「セッション・ディレクトリ」サーバーがユーザー・セッションを処理したサーバーの情報を保持する。接続が切れた後でも再び同じノードに接続できる。 |
従来のターミナル・サービスは,サーバーの台数を増やして負荷を分散する「スケールアウト」が難しかった。負荷分散装置などを用いてターミナル・サーバーをクラスタ化した場合,中断したセッションに再接続しようとしても再び同じノードに接続するとは限らない。PDAなど常時接続を前提にしない端末を利用するケースなどを考えると実用的とはいえなかった。
そこでWindows Server 2003では「セッション・ディレクトリ(SD)」と呼ぶ機構を導入し,クラスタ構成を採ったときに正しいノードに再接続できるようにした。ユーザーがターミナル・サーバーにログオンすると,ターミナル・サーバーはそのセッション情報をSDに登録する(図5a[拡大表示])。接続を切ったユーザーが再びログオンしようとすると,ログオンの要求を受けたターミナル・サーバーがSD上に中断したままのセッション情報を見付け,そのノードへ再接続するようにクライアントを誘導する(図5b[拡大表示])。
アプリケーション・サーバーとしての利用はクライアント数が多いほど大きなメリットを生む。実用的なスケールアウト方法を得たことでターミナル・サービスの普及が加速するかもしれない。