少人数用のポータルが作れるSharePoint Team Services

図4● 「SharePoint Team Services」を使ったWebページ
ドキュメント・ライブラリ(左),お知らせ,予定表,アドレス帳(右)などのメニューを用意している。サーバー側にはIIS5.0以上が必須。クライアント側のフロントエンドはブラウザを使用。Officeソフトからもデータの入出力ができる
 第2のグループ・ユーザー向けの機能では,Wordの校閲機能の強化や,Outlookのグループ予定表の強化などがあるが,なかでも最大の特徴は「SharePoint Team Services」の追加だろう(図4[拡大表示])。

 SharePoint Team Servicesは,部署内の少人数のグループ(チーム)で共同作業を進めるためのWebページを手軽に構築するサーバー・ソフトである。100人程度の規模で運用する「SharePoint Portal Server 2001」のミニチュア版のようなものだ。

 同ソフトは,Office XPの上位3つのラインアップに含まれ,動作環境はWindows 2000 Professional(SP1を含む)以上で,IIS(Internet Information Services)5.0以上が必要。また,データベースと連携する場合は,MSDEかSQL Serverが必要になる。

 同ソフトを使えば,(1)文書管理,(2)掲示板,(3)予定表,(4)アドレス帳,(5)アンケート作成・集計,(6)リンク集など,グループ作業向けのメニューを備えたWebページを簡単に構築できる。

 例えば,文書管理では,共有設定になっている文書ファイルのプロパティや保存先のリストが管理されており,並べ替えやフィルタリング,検索をして表示することが可能。ユーザーが「購読」を設定しておくと,文書が更新されたときに,購読者へお知らせの電子メールを自動的に送信するので見落としをしなくてすむ。

 他にも面白い機能として「アンケート」がある。グループ内のメンバーにアンケートを実施するために,質問票をウィザードで手軽に作成できて,自動的に集計したあと,グラフ表示までをやってくれる。

 Webページは,FrontPageを使ってカスタマイズすることが可能なうえ,別途,新しいデータを管理するようなWebページ(例えば,電子アルバム・ページ)を作成する機能を備えている。

 これらWebページのコンテンツは,Webブラウザを使って表示・入力するだけでなく,表データはExcel,予定表はOutlookを使ってアクセスできる。文書ファイルの保存も[マイネットワーク]の中から直接指定するなど,かなりOfficeソフトと統合されたものになっている。

 管理機能はWindows 2000のネットワーク管理に準じており,ドメイン・ユーザーからアクセス権を設定したり,グループ内で権限を決めることができる。

 SharePoint Team Servicesの利用規模は,サーバーに同時にアクセスできるのが5人までという制限はあるが,それ以上でも構わない。むしろ,ボトムアップ的に拡張できることが特徴だ。数人のグループからスタートして,複数のグループ(サーバー)が集合することで,大きな部門の社内ポータルを構築できるのだ。

 他にも,社内にサーバーを置くのでなく,SharePoint Team Servicesに対応したISPにWebサイトを置いてもよい。そうすれば,外部からアクセスすることも可能になる。

XMLのサポート強化により業務用アプリとの連携がスムーズに

 Office XPは企業向けを意識した機能としてXMLのサポートを強化した。

 企業内でOfficeを使う際に,Webとの連携や業務用アプリケーションとの連携を進めていくには,汎用的なファイル形式としてXMLのサポートが不可欠だ。

図5●XML形式でデータを保存できる
Excelで作成した帳票をXML形式で保存することで,他の業務用アプリケーションとの連携が容易になる
 例えば,Excelを使った見積書があるとして,従来はこれをXML形式で保存すると,表のレイアウトを保ったようなXMLファイルとして保存された。今回から新しくテンプレートを用意することで,データベースのフォームとして扱えるような,XMLファイルに保存できる(図5[拡大表示])。これを「BizTalk Server 2000」に送るなどして,業務用のアプリケーションとの連携を図れるのだ。

 Office XPの企業向け機能としては,Office XP Developerのカスタマイズの開発環境が挙げられる。

 Developer版には,数多くの開発ツールが付属していて,その中の1つ,「スマート・タグSDK」を使うと,前述したようなスマート・タグのカスタマイズができる。

 顧客からの電子メールが届いたとしたら,文面の中の地名に反応してMSNの地図サイトを呼び出したり,自社の商品名に反応して,注文票が起動するといった使い方だ。

 基本的にはXMLファイルを作成してクライアントに配布して使うが,外部のアプリケーションを起動するような場合,Visual Basic 6.0やVisual C++6.0で作成したCOMコンポーネント(DLL)を組み込む必要がある。

ExchangeやSQL Serverと連携するワークフローを設計できる

 もっと大掛かりなワークフローを構築するツール「ワークフローデザイナ」も用意した。「Exchange 2000 Server」や「SQL Server 2000」をバックエンドにした,文書回覧や受注確認などのワークフローが構築できる。

図6●ワークフロー・デザイナーにより,文書回覧のワークフローを作成しているところ
 文書回覧型ワークフローなら,経費精算の申請書をExchangeのパブリック・フォルダに保存すると,それがトリガーになって,承認者のところに電子メールでお知らせが届いたり,承認が済むと申請者のところに電子メールで連絡が届くといった流れが,フローチャートを描くように設計できる(図6[拡大表示])。このワークフローはSharePoint Portal Server 2001の上にも構築することができる。

 開発ツールは他にもあり,「ダッシュボード・プロジェクト」を使うと,ユーザーに個別のWeb情報画面を提供する「デジタル・ダッシュボード」のパーツを作成できる。また,「Visual Basic for Applications(VBA)」は最新版6.3が付属する。

複数ユーザーの管理に便利なOffice XPリソース・キット

 マイクロソフトは企業向けのOffice XPを補完する目的で「Office XPリソースキット」をリリースする予定だ。ボリューム・ライセンス版のCD-ROMに標準で付属するほか(メッセージは英語),日本語版はWebサイトからのダウンロードも可能になるという。

 Office XPリソース・キットには,アプリケーションを一括してカスタマイズする「Office Profile Wizard」,クライアントにインストールするオプションを制御する「Custom Installation Wizard」,既に行ったセットアップの変更点を記録する「Custom Maintenance Wizard」など,主に複数のクライアントを管理するツールがそろっている。

(木下 篤芳=kinosita@nikkeibp.co.jp