★マイクロソフトの「Office XP」のプレリリース版が公開された。出荷開始は5月末から6月にかけて。
★エンドユーザー向けにはスマート・タグ,作業ウインドウなど操作性向上のための新機能が追加された。またWebサービスとの連携も強化している。
★企業向けには,グループ作業用のWebページ構築ツール「SharePoint Team Services」を追加したり,業務用にカスタマイズする機能を充実させるなど,企業向けを意識した作りになっている。

図1●Office XPの主な新機能
ユーザーの利用規模に応じて,個人,グループ,企業と3段階に分けた
表1●Office XPの製品ラインアップ
すべての製品に電子辞書ソフト「Bookshelf Basic 3.0」,トレーニング・ソフト「Step by Stepインタラクティブ」が含まれる。また,同Personalを除くすべてにクリップ・アート集「メディアコンテンツ」,同Professional Special Editionに「IntelliMouse Optical」が付属する
図2●編集画面の中に現れるスマート・タグ
WordやExcelなどの編集画面に,追加や修正した部分の近くに小さいアイコン(スマート・タグ)が現れる。これをマウスでクリックすると,関連した機能を呼び出すメニューが表示される
図3●編集画面の右側に表示される作業ウインドウ
現在の操作内容に関連した,新規作成,クリップボード,検索などの機能を切り替えて表示する
 マイクロソフトの次期統合オフィス・スイート「Office XP」日本語版がようやく姿を現した。同社は4月2日に「プレリリース版」を報道関係者向けに配布し,あわせて製品ラインアップや価格などを発表した。出荷開始時期は,公式には「6月までに」と述べているが,関係者によると早ければ5月末には始まるものと見られる。

 Office XPのバージョンアップの特徴は,(1)個人ユーザー向けの基本的な操作性の向上,(2)グループ・ユーザー向けの共同作業を実現する機能,(3)企業・事業部ユーザー向けの業務に合わせたカスタマイズ機能――という3つの側面があり,企業向けにシフトした内容となっている(図1[拡大表示])。

 Office XPの製品ラインアップも,これらの3つの側面を反映して,個人ユーザー向けには「Office XP Personal」「同Standard」「同Professional」の3種類。少人数でグループ作業をするには「同Professional with FrontPage」と「同Professional Special Edition」。さらに企業や事業部のシステム部向けで,カスタマイズしたシステムを構築する用途に「同Developer」と,ラインアップが分かれている(表1[拡大表示])。

 ここでは,ベールを脱いだOffice XPの姿を,個人,グループ,企業の3つのユーザー領域に沿って,順番に紹介していこう。

操作性を向上させる新手の機能スマート・タグと作業ウインドウ

 第1の個人ユーザー向けの新機能は,スマート・タグと作業ウインドウが最大の目玉だ。いずれも,ユーザーの次の操作で使いそうなメニューを動的に表示することで,操作の手間を省いてくれる。

 スマート・タグとは,作業内容に応じてそれに関連するメニューを,編集画面内に適時提示してくれる機能である。

 例えば,Wordの文書画面にExcelの表データを貼り付けたとすると(図2[拡大表示]),表の横に小さなアイコンが現れる。これがスマート・タグだ。そのまま編集作業を続行すれば,スマート・タグは消えるが,アイコンをクリックするとメニューが現れ,貼り付けた表データをテキスト形式にするか,Wordの表形式にするかといった作業を選ぶことができる。

 他にもWordにおけるスマート・タグは,箇条書きを支援する「オートコレクト」機能を切り替えたり,URLや電子メール・アドレスに対して,リンクを張るかどうかといったメニューを呼び出すことができる。

 スマート・タグは,Excelではセルの貼り付けやオートフィル,PowerPointではテキストの調整機能などといったメニューが用意されている。必ず次のステップで要求されるようなメニューを,スマート・タグで呼び出せるようになっている。

 スマート・タグは,業務用のところでも後述するが,カスタマイズすることも可能だ。例えば,特定の商品名に対して,価格を表示したり,在庫を確認するようなメニューを作れる。

 もう1つの作業ウインドウは,アプリケーションの画面右側に現れるウインドウのこと(図3[拡大表示])。ここには,ユーザーの次のアクションを予測して,使いそうなメニューやプレビューを表示してくれる。

 作業ウインドウには,各アプリケーションに共通するものと,アプリケーションに特化したものとがある。共通のものは「新規作成」「クリップボード」「検索」「クリップアート」などで,各アプリケーションに特化したものには,Wordの「翻訳」や「差し込み印刷」,PowerPointの「スライドのレイアウト」,Publisherの「フォントパターン」など,豊富な種類が用意されている。

 スマート・タグと作業ウインドウ以外にも,個人ユーザーの操作性を向上させる機能として,(1)音声入力・読み上げ機能の追加,(2)Webクエリーの改良,(3)インターネット・サービスとの連携など,数多く用意されている。

 例えば,(2)ではExcelのシートにWeb上の為替情報などを貼り付けておくと,表示がリアルタイムに更新されるように設定できる。(3)では,マイクロソフトのMSNも含めて,インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)と連携し,無料ディスク・サービス,翻訳サービス,テンプレート・ギャラリーなどを,Officeのメニューの中にシームレスに呼び出すことが可能になった。