ぷらっとホームは2001年10月,同社のECサイト「#orderconf」に,3次元グラフィックスを利用して疑似的にPCを組み立てていく機能を取り入れた。部品を組み合わせてPCを構成する作業を分かりやすくするとともに,商品購入後の不具合や返品を減らし,営業担当者の負荷を軽減することが目的。米ビューポイントの技術を採用し,ユーザーが選んだ部品をブラウザ上に3次元表示する。

(福田 崇男=tafukuda@nikkeibp.co.jp)

写真1●ぶらっとホームのECサイト内にある「#orderconf」

 リッチ・コンテンツを使うWebサイトが増えている。ブロードバンドのアクセス回線を利用するユーザーが急増していることもあり,サイズが多少大きくても,表現力に優れ,ユーザーを引き付けるコンテンツを提供しようという狙いである。

 ぷらっとホームのEC(電子商取引)サイト内にある「#orderconf」も,そうしたサイトの1つだ(写真1)。#orderconfは,好みの部品を組み合わせて構成したオリジナルのPCを販売するサイトである。2001年10月に,Web上の3次元グラフィックス技術(Web3D)を使って,ブラウザ上で疑似的にPCを組み立てていく機能を追加した。

メールで個別に対応

 ぷらっとホームは,ECサイト「ぷらっとオンライン」を運営している。CPUやハード・ディスクといった部品や自社ブランドのPCを販売している。

 同サイトの顧客は,PCを一から組み立てるようなヘビー・ユーザーが多い。標準的なハードウエア構成のPCをメニューとして用意していたが,「すべてのパーツを自分の好みで選びPCを構成したいというユーザーの要望が多かった」(ぷらっとホーム副社長の村上 英樹氏)。

 サービス開始当初は,ぷらっとオンラインでフルカスタムのPCも販売していた。しかし,部品を自由に組み合わせてPCを構成するとなると,ユーザーの希望どおりに動作しないケースが出てくる。部品同士の相性が悪かったり,ある組み合わせでは部品が正常に動作しなかったりする。5インチ・ベイが1つしか空いてないのに,2つの5インチ・ドライブを組み込もうとするなどの単純なミスも発生しやすい。

 このため営業担当によるフォローが不可欠だった。注文内容を確認し,無理がある構成や相性の悪い部品の組み合わせを避けるように,メールで顧客とやり取りして調整していた。

部品の在庫数を表示

図1●ぷらっとホームの「#orderconf」は,Web上でパーツを組み合わせてパソコンを注文する
製品構成がユーザーの希望と合っているか,構成上無理がないかは,これまでは営業担当者が顧客とメールでやり取りをして判断していた。Web3Dにより希望するPCをイメージしやすくなった。また無理な構成をとることもなくなった。

 このようなメールのやり取りには時間がかかり,当然,商品はユーザーの手元にすぐには届かない。営業担当者の負担も大きい。これを改善するため,顧客がメニューから個別に部品を選んでPCを組み立てることができるWebサイト「#orderconf」を構築した。

 利用可能な部品をメニューとして提供することで,無理な組み合わせを避ける。部品同士の相性に関する情報を掲載し,組み立てた後に思わぬ不具合が生じる可能性を低くしている。

 ぷらっとホームの業務システムでは,部品ごとに在庫情報を調べることができる。営業や組み立ての担当者はこの情報を基に業務を進めている(図1[拡大表示])。ECサイトでも,同じデータベースを使う。「はやく商品がほしいというユーザーへの納期を短縮するため,在庫や商品の情報を公開するようにした」(村上氏)。#orderconfも業務システムと連携しており,在庫情報を部品ごとに掲載することができる。