PHSのデータ通信機能を利用

図3●鷹山はISM折り返し機能などを活用し,データ通信サービスを定額で提供可能にする
鷹山は,NTTが事業者向けに提供している「ISM折り返し機能」を利用し,インフラのコストを定額にする。

 PHSを使う鷹山は,7月にも現行よりも低額なデータ通信の準定額制サービスを始め,そのインフラを使って来春にもモバイルIP電話サービスを開始する。音声を電話局でIPパケット化するサービスである。そのため,中継網のIP化を進めている。

 PHSの基地局とインターネットを,NTT東日本の定額の回線を使って接続する(図3[拡大表示])。ISDN回線を使い,基地局をISM(Iインタフェース加入者系モジュール)と呼ばれる交換機に接続。通信事業者向けに用意されている「ISM折り返し機能」と「ISM折り返し接続機能」を利用し,ISMからインターネットに接続するようにする。

 JMネットの「JMmodem」は,既存の携帯電話ネットワークを利用する。携帯電話のデータ通信機能を使って,音声パケットをやりとりする。「月額4500円の定額制で利用できるようにする予定である」(JMネット 営業企画部長の河野 俊之氏)。

使える端末は少ない

 今のところ,使用できる端末は少ない。たとえば,モバイルIPTalkは,携帯電話型の端末を開発した(写真1)。CF(コンパクト・フラッシュ)の802.11b対応無線LANカードを装着して使う。データ通信も可能で,Webブラウザやメール・クライアントの機能を搭載する。

 シャープのサービスでは,「ZAURUS」に,ソフトプロントと共同で開発したソフトウエア・フォン「Zaurus phone」をインストールして使う(写真2)。イヤホンやマイクなどをZAURUSに装着して通話する。

写真1●アイピートークの携帯電話型IP電話機
右側のコンパクト・フラッシュ型の無線LANカードを,電話機の背面に取り付ける。
 
写真2●シャープがVoIPの実験サービスで使用している端末は「ZAURUS」のみである

 一方,JMmodemでは,現行携帯電話にモデムを装着して使う。モデムは,JMネットが独自に開発している。一部の機種を除けば,NTTドコモ,KDDI,J-フォンなどの携帯電話で利用できる。電話をかける操作も携帯電話と同じである。モデムを装着してダイヤルすると,自動的にIP電話を使って通話するようになっている。

 鷹山のPHSは現行の電話機がそのまま利用できる。中継網だけをIP化するためである。

(福田 崇男=tafukuda@nikkeibp.co.jp)