ソーシャル・ネットワーク・サイト(Social Networking Site)またはソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service)の略。共通の趣味や仕事を持つ者同士が集まり、意見を交換しあったり知り合いを紹介しあったりすることで、新たな人脈作りやコミュニティの形成につながるWebサイト、あるいはそうしたWebサイトを提供するサービスを指す。

 SNSは、すでにSNSに参加している友人などからの紹介がなければ参加できない点が最大の特徴だ。既存の参加者が、参加希望者のメール・アドレスやプロフィールをSNSに送り、運営主体が登録して初めてSNSでの意見交換が可能になる。ただし、厳密な入会資格審査があるわけではない。そのため、SNSの集まりは“ゆるやかなコミュニティ”と呼ばれることもある。

 ネット上でコミュニティを形成する手段には、掲示板やメーリングリストなどがある。ただ、いずれもが参加者本人の意思で自由に参加できるし、匿名で発言ができる。そのため、議論の本質から離れた意見や、わざと議論を妨げるような意見が発せられることを、完全には防げなかった。SNSの参加者は、紹介者が一応の身元を保証した人同士のため、ある程度、秩序を保った議論を展開しやすい。人脈形成よりも、そこに着目して運営されるSNSもある。例えばキユーピーは、社内のナレッジ共有のインフラにSNSの仕組みを使っている。

 SNSは米国で、2002年ごろに誕生した。コミュニティ・サイトの「Friendster(フレンドスター)」が先駆けとされる。同サイトの利用者は最初、自分の写真や興味がある対象のリスト、友人らの電子メール・アドレスのリストを登録。共通の趣味を持つ友人、そのまた友人といった具合にたどれば新しい友人に出会えることが評判を呼び、ユーザー数を伸ばした。会員の友人をたどって放射状(スター型)に人脈が広がることが、フレンドスターという名の由来だ。

 日本のSNSには、「GREE(http://www.gree.jp/)」やイー・マーキュリーが運用する「mixi(http://mixi.jp/)」などがユーザー数を伸ばしている。2003年から急増したブログ(Web Log)に続く新サービスとして、20代~30代を中心に注目されている。mixiにはすでに30万人のユーザーがいるという。

 SNSの利用料は、日米ともにほとんどが無料だ。Webサイトに掲載される広告収入か、企業サイトへのリンクを掲載し、そのリンク経由でユーザーが商品などを購入した際にバックマージンを得るアフィリエイトを主な収入源にしている。

 ただ最近は、会員から利用料を徴収したり、サイト内でのみ通用する疑似通貨(ポイント)を使ったりして独自の収益源を確保するSNSも登場し始めた。人脈形成を個人の趣味の範囲から、ビジネスのためにシフトしたサイトが有料化を目指す例が多い。

(安藤)

本記事は日経コンピュータ2005年2月21日号に掲載したものです。
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