GUIアプリケーションの利用

図6●VNCを使ってXアプリケーションを閲覧・操作する場合の構成図
coLinux上のゲストOS(Fedora Core1)でVNCサーバーを,Windows上でVNCクライアント(VNCビューア)を稼働させる。
写真5●VNCのアクセス先を入力
VNCサーバーのIPアドレス(coLinuxのゲストOSのIPアドレス)とディスプレイ番号を入力する。
写真6●VNCクライアントにXの画面が表示された
初期設定ではウインドウ・マネージャにtwmが利用されている。
図7●VNCサーバーの設定
統合デスクトップ環境GNOMEを利用したい場合は,~/.vnc/xstartupファイルを図の通り編集する。
写真7●GNOMEを起動させた例
VNCサーバーの設定を変更するとGNOMEも利用できる。
図8●Cygwin/Xを使ってXアプリケーションを閲覧・操作する場合の構成図
coLinuxのゲストOS上で起動したXアプリケーションの画面の出力先をCygwin/Xに設定している。
写真8●Cygwin/Xのインストール
インストール中「Select Packages」では「X11」の項目を「Install」に変更しておく。
写真9●Cygwin/Xを利用してGNOMEを起動した例
環境変数DISPLAYでCygwin/Xのディスプレイを指定すれば,Cygwin/XのウインドウにGNOMEなどのXアプリケーションを表示できる。

 2004年5月14日現在,coLinux上ではXサーバーを稼働できない。そのため,単体ではX Window Systemで動作するGUIアプリケーションを利用できない*3。しかし,ネットワーク経由で他のXサーバーを使えば,Xアプリケーションも利用できる。また,Xサーバーの代わりに「VNC」(Virtual Network Computing)というソフトウエアを使ってもXアプリケーションの利用が可能である。ここでは,このVNCと,Cygwin環境で動作するXサーバー(Cygwin/X)を利用した場合の設定例を紹介する。動作周波数が800MHzのCeleronプロセッサ搭載機で試したところ,VNCとCygwin/Xを利用したいずれの場合でも,十分な動作速度でXアプリケーションを操作できた。

 最初に,Fedora Core1側にX Window Systemを利用するのに必要なパッケージをインストールする。パッケージはyumコマンドを使って,次のように導入する。

# yum install XFree86 XFree86-twm XFree86-fonts* ttfonts-ja fonts-*

 統合デスクトップ環境「GNOME」を利用したい場合は同時にGNOMEパッケージもインストールする。

# yum install gnome-*

VNCを利用する方法

 VNCは,コンピュータのGUI画面をネットワークを介して送信し,遠隔操作できるようにするソフトウエアである。LinuxとWindowsなど,異なるOS間での遠隔操作にも対応するのが大きな特徴である。

 coLinux上のLinuxでVNCサーバーを,WindowsでVNCクライアントを稼働させれば,Linuxのデスクトップを(ネットワーク越しに)Windowsから閲覧・操作できる(図6[拡大表示])。

 VNCを利用するには,まず,yumコマンドを次の通り実行してFedora Core1環境にVNCサーバーを導入する。

# yum install vncserer

 インストールが完了したらVNCサーバーを起動する。

# vncserver

 すると接続用のパスワードを聞かれるので任意のパスワードを2回入力する。vncserverの起動が成功すると,「colinux:1」のようにマシン名「colinux」とディスプレイ番号「1」が表示される。ディスプレイ番号はVNCサーバーにアクセスする際に必要になるので覚えておこう。

 次にWindows XP用のVNCクライアントを「Real VNC」のWebページ(http://www.realvnc.com/)から入手する。同ページでは,「Full installation」と「Viewer program only」の2つのパッケージが配布されている。今回はVNCクライアントだけが必要なので「Viewer program only」をダウンロードする。

 ダウンロードしたVNCクライアントを起動して,VNCサーバーのIPアドレスとディスプレイ番号を入力して,[OK]ボタンをクリックする。例えば,coLinuxのネットワークのIPアドレスが「192.168.0.40」,VNCサーバーのディスプレイ番号が「1」の場合は「192.168.0.40:1」とする(写真5[拡大表示])。

 ここでパスワードを尋ねられるので,VNCサーバーを起動したときに指定したパスワードを入力する。すると,VNCクライアントが起動しX Window Systemの画面が表示される(写真6[拡大表示])。

 また,GNOMEを利用したい場合は,「~/.vnc/xstartup」を図7[拡大表示]のように設定してVNCサーバーを再起動する。

# vncserver -kill :1
# vncserver

 VNCサーバーが起動したらVNCクライアントで再接続をするとGNOMEの画面が表示される(写真7[拡大表示])。

Cygwin/Xを利用する方法

 Cygwinは,WindowsでUNIX互換の環境を実現するソフトウエアである。Cygwinを利用すると,UNIX用に開発されたさまざまなアプリケーションをWindowsで実行できる。Cygwin/XというXサーバーも用意されており,これを使うと,Xアプリケーションも稼働できる。

 X Window Systemは,元々,ネットワーク越しの遠隔操作に対応したウインドウ・システムである。そのため,このCygwin/Xに,(ネットワーク経由で)coLinuxで動作するXアプリケーションの画面を転送することも可能である。これを利用すれば,図8[拡大表示]の通りWindowsからLinuxのデスクトップを閲覧・操作できる。

 Cygwin/Xを利用するには,Cygwinのインストールが必要である。CygwinのWebページ(http://www.cygwin.com/)などから,インストーラ・ファイル「setup.exe」を入手してインストールする。

 インストール作業中,「Select Packages」の設定画面が表示されたら,「X11」の項目を「Install」に変更すればCygwin/Xがインストールされる(写真8[拡大表示])。

 Cygwin/Xのインストールが終わったら,Cygwin/Xが起動できる。デスクトップやスタート・メニューにあるCygwinアイコンをクリックしてコンソールを表示させ,そこで次のようにコマンドを実行するとCygwin/Xが起動する。

> xwin -ac

 この状態で,coLinux上で動作するFedora Core1のコンソールで,

# export DISPLAY=WindowsのIPアドレス:0.0

と入力すれば,Xアプリケーションが利用するディスプレイが,Cygwin/Xに変更される。例えばここで,

# xterm & twm

と入力すると,Cygwin/Xのウィンドウにxtermが表示され,ウインドウ・マネージャにtwmが使用されるはずである。

 GNOMEを利用したい場合は,Fedora Core1のコンソールで,

# export DYSPLAY=WindowsのIPアドレス:0.0
# export LANG=ja_JP.utf8
# gnome-session

と入力する。これにより,GNOMEが起動する(写真9[拡大表示])。

(ライター 福田 和宏)


(中)に戻る