Fedora Core1を利用する
coLinuxのWebページには,Fedora Core1やDebian GNU/Linux,Gentoo Linuxのイメージ・ファイルが用意されている。ここではFedora Core1のイメージ・ファイル「colinux_minimal_fedora_core_1.zip」を使う例を紹介する。
イメージ・ファイルは,zip形式の圧縮アーカイブとなっている。ファイルを展開伸長すると,Fedora Core1の本体となる「fc1_2GB_root.bz2」,11種類のブランク・イメージ・ファイル「blank_xxx.bz2」,設定ファイルの「fc1.colinux.xml」が生成される。
まず,bzip2形式で圧縮されている「fc1_2GB_root.bz2」ファイルを伸長して,coLinuxのインストールされているフォルダにコピーする。coLinuxは標準では「C:\Program Files\coLinux」フォルダにインストールされている。
ファイルの伸長には「+Lhaca」(http://park8.wakwak.com/~app/Lhaca/)や「eo」(http://member.nifty.ne.jp/beambitious/)などのアーカイブ・ユーティリティが利用できる。なお,同ファイルを伸長すると2Gバイトのファイルになる。ハード・ディスクの空き容量には注意したい。
次にスワップ領域として利用するファイルを同様の手順で伸長して,coLinuxのフォルダにコピーする。スワップ領域用のファイルとして,容量の異なる11種類のブランク・イメージ・ファイルが用意されているので,そこから1つを選択する。例えば,256Mバイトのスワップ領域を確保する場合は,「blank_256.bz2」を伸長して使う。コピー時には,ファイル名を「swap_device」に変更する。
また,設定ファイルである「fc1.colinux.xml」もcoLinuxのフォルダにコピーする。コピー後,テキスト・エディタで同設定ファイルを図1[拡大表示]のように編集する*1。マシンが搭載する主メモリー量が少なくてcoLinuxが起動しない場合は,設定ファイルの<memory>タブのsize値を小さく設定する。
Windowsのコマンド・プロンプトを起動し,図2[拡大表示]のようにcolinux-daemonコマンドを実行するとcoLinux上でFedora Coreが動作する(写真3[拡大表示])。しばらくすると表示されるログイン・プロンプトに「root 」と入力すると管理者権限でログインできる。
Fedora Coreの設定
Fedora Coreが起動したら,まずネットワークを設定しよう。設定には「/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0」ファイルを編集する。
同ファイルには,図3[拡大表示]のようにIPアドレスやネットマスク,デフォルト・ゲートウェイなどを設定する。なお,coLinuxのコンソールにはカーソルが表示されない。そのため,文字を入力している場所が分かりにくい。例えば,vi画面の右下に表示されるカーソルの座標値を参考にしながら,慎重に入力しよう。
また,coLinuxは,DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を使った動的なIPアドレス割り当てには未対応である。そのため,DHCPサーバーが存在する場合でも,IPアドレスを固定的に割り当てる必要がある。
また,名前解決できるように/etc/resolv.confファイルを編集してネーム・サーバーの設定もしておく(図4[拡大表示])。
ネットワークの設定が完了したら,
# /etc/init.d/network restart
と入力するとネットワークに接続できる。
またこの段階では,スワップ領域として設定したイメージ・ファイルを初期化(フォーマット)していないため,スワップが無効である。次のように領域を初期化して,スワップを有効にする。
# mkswap /dev/cobd7
# swapon -a
以上で,Fedore Core1の設定は終了である。
アプリケーションを入手する
coLinuxのWebページに用意されるFedora Core1のイメージ・ファイルには,必要最低限のパッケージしか含まれていない。そのため,アプリケーションの多くはインストール後に各ユーザーが入手する必要がある。
パッケージの入手とインストールには,Fedora Core1のyumコマンドを使うのが便利である。yumコマンドは,ネットワーク経由のパッケージ・インストールに対応する上,パッケージの依存関係を自動解決してくれるからである。
例えば,gzipを利用したい場合は,
# yum install gzip
とするだけで,必要なパッケージをダウンロードしてインストールしてくれる*2。このgzipは次で紹介するキーボードの設定などで利用するパッケージなので,ぜひとも導入しておこう。
gzipを導入したら,キーボードを設定する。初期設定では101キーボードを利用するように設定してあり,日本語キーボードを使っている場合はキー配列を106にする必要がある。これには「/etc/sysconfig/keyboard」ファイルを図5[拡大表示]のように編集する。キーボードの設定は,coLinuxを再起動すると反映される。
SSHサーバーで外部から接続
coLinuxのコンソールにはカーソルが表示されない。そのため設定ファイル編集中などにカーソル位置を見失い,思いがけない場所に文字を入力したり削除する危険がある。SSHやTelnetサーバーをcoLinuxのゲストOSで起動し,Windowsから端末エミュレータを使って接続すればカーソル表示の問題は生じない。ここではSSHサーバーを使う方法について紹介する。
coLinuxで配布しているFedora Core1のイメージにはあらかじめSSHサーバーがインストールされている。しかし,標準ではSSHサーバーは起動しない。そこでまず,SSHサーバーを起動する。
# /etc/init.d/sshd start
SSHの標準設定では,管理者はリモート接続できない。そこで,一般ユーザーを作成してそれで作業しよう。例えば,ユーザー名を「fukuda」,パスワードを「userpass」とする場合は,
# useradd fukuda# passwd fukuda
とする。パスワードは確認のために2度聞かれるので同じパスワードを入力する。
次にWindowsで動作する端末エミュレータを用意する。よく利用されるのが「TeraTerm Pro」(http://hp.vector.co.jp/authors/VA002416/)だ。しかし,TeraTerm Pro単体ではSSH接続に対応していない。対応させるには「TTSSH」(http://www.zip.com.au/~roca/ttssh.html)を入手して,パッケージ展開後にTeraTerm Proのインストール・ディレクトリにコピーすればよい。また,Fedora Coreで日本語環境を使いたい場合は,「UTF-8対応TeraTerm Pro」を用いる。
接続には「ttssh」アイコンをクリックする。「Host」にFedora CoreのIPアドレスを入力し,「Service」で「SSH」を選んで[OK]ボタンを押す(写真4[拡大表示])。その後,ユーザー名とパスワードを聞かれるので,先ほど作成した一般ユーザーのユーザー名とパスワードを入力すればFedora Coreにログインできる。
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