ジャンル:Webアプリケーション  作者:Robert Castley氏ほか 
ライセンス:GNU GPL  URL:http://www.mamboserver.com/

 Mambo Open Sourceは,ニュース掲示板などを備えた小規模なWebサイトを構築,管理できるソフトウエアである。デザインをほぼ自動的に設定できる,Webサイトの開発や運用をWebブラウザから行えるなどの特徴を持つ。

写真1●Mambo Open Sourceで作成されたWebサイトの一例
URLは,http://www.mamboserver.com/である。

表1●Mambo Open Sourceの主な機能

写真2●Mambo Open Sourceのインストール画面
ディレクトリとファイルのパーミションの設定を変更する必要がある。

写真3●ディレクトリとファイルのパーミションを設定したところ


 Webサイトを継続的に更新するのはなかなか難しい。月日を重ねるごとにコンテンツの量が増えていくからだ。手作業だけでWebサイトを管理するのは困難であり,残念ながらリンク切れなどを頻発させてしまうWebサイトが多い。

 これらの問題を解消するシステムとして注目を浴びているのが,CMS(Contents Management System)と呼ばれる一連のソフトウエア群だ。以前,本欄で紹介したXOOPS(http://jp.xoops.org/modules/news/)やMovable Type(http://www.movabletype.org/)は,CMSの一種である。

 CMSを利用すれば,HTMLの知識がなくても,Webサイトを比較的簡単に更新できる。リンク切れを起こすようなこともない。ページのデザインは,CMSにより一元管理されているため,テンプレートを変更すれば,過去に投稿した記事も一瞬にして,新しいデザインに変更できる。一からサイトを作成するのも簡単である。

 日本ではあまり知られていないが,海外には多くのCMSが存在する。その中でも今回紹介する「Mambo Open Source」(写真1[拡大表示])は,世界で最も広く使われているCMSの一つと言えるだろう。

豊富な機能を簡単に使える

 Mambo Open Source(以下,Mambo)は,表1[拡大表示]のような機能を備えており,他のCMSと比べてみても,高機能だ。広く普及しているため,新たな機能を追加するモジュールやコンポーネント,デザインを制御するテンプレートが豊富である。このため,好みに応じたカスタマイズが容易に行える。実際,Mamboを使用しているWebサイトを比較してみると,同じCMSを使っているとは思えないほど,見た目が多彩である。

MySQLとPHPとApacheが必要

 Mamboは,Linux以外にUNIX,Windows 2000/XP上でも動作する。Mambo本体はPHPのコードで記述されており,コンテンツはMySQLで管理される。そのため,PHPとMySQLがシステムに必要である*1。AMP(Apache,MySQL,PHP)環境が動くようであれば,LinuxであろうがWindowsであろうが,同じように動作する。

 注意点は,開発に利用するWebブラウザである。HTMLのテーブルやリストなどを生成するWYSIWYG機能を使用したいのであれば,Internet Explorerに限定される。Mozillaでは,WYSIWYG機能を利用できない。

Mamboをインストールする

 それではMamboを実際にインストールしてみよう。ここでは,Fedora Core 1を用いる。

 MamboのWebサイト(http://www.mamboserver.com)で配布されているパッケージには,日本語処理に問題を抱える。そこで,日本語化を進めている「Mamboオープンソースじゃぱん」のWebサイト(http://mambo.mu-fan.com/)にあるパッケージを利用する*2。具体的には「MOSJP-7.zip」というファイルをダウンロード後,FTPなどを用いてWebサーバーにアップロードする*3

 これから先の作業はWebサーバーにターミナル・ログインして行う。WindowsマシンからWebサーバーにアクセスする際には注意が必要だ。Fedora Core 1では,日本語の文字コードにUTF-8が標準採用されており,ターミナル・ソフトのTera Term(http://hp.vector.co.jp/authors/VA002416)などでは,文字化けが発生する。これは,Tera TermがUTF-8をサポートしていないことが原因だ。UTF-8をサポートするターミナル・ソフトとしては,PuTTY(http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/)が有名であるが,筆者はVaraTerm(http://www.routrek.co.jp/product/varaterm/index.html)を使用している。UTF-8のサポートがあることに加えてウインドウがタブ式であることなどから,使い勝手が良いためだ*4

 それでは,Webサーバーにログインして,インストール作業を始めよう。まず,ファイルを展開する。

# unzip MOSJP-7.zip

 展開されたディレクトリを,Apacheのドキュメント・ルートに移動させる。Fedora Core 1では,/var/www/HTMLがデフォルトの位置になっている。

# mv MOSJP-7/* /var/www/html

 早速,Webブラウザから設置先のURLにアクセスしてみよう。

 Fedora Core 1では,文字化けが起きているはずだ。これは,Fedora Core 1に含まれているApacheのデフォルトの文字コードがUTF-8に固定されている一方,MamboではEUC-JPを用いるためだ。

 /etc/httpd/conf/httpd.confをエディタで開き,「AddDefaultCharset UTF-8」と書かれた行をコメント・アウトしよう。その後,Apacheをリロードする。

# /etc/rc.d/init.d/httpd reload

 今度は,正常に表示されたはずだ(写真2[拡大表示])。

 写真2の画面では,緑文字で表示されている部分と赤文字で表示されている部分がある。緑文字の部分は問題がないが,赤文字の部分は,Mamboの動作に必要なモジュールが不足していることを意味する。例えばPHPに赤文字表示があった場合には*5,RPMを用いるかソース・コードからコンパイルして最新のPHPを導入する必要がある。

 ここでは「ディレクトリとファイル パーミッション」の項目がすべて赤文字表示だ。これは,configuration.PHPやディレクトリに書き込み権限がないことが原因である。そこで,これらのファイルやディレクトリのパーミッションを書き込みが可能な707に変更しよう。

# chmod 707 . administrator/backups/ administrator/components/ components/ images/ media/ language/ modules/ templates/ uploadfiles/

 ただし,ドキュメント・ルートを707に変更するとセキュリティが低くなる可能性がある。高いセキュリティが必要な場合は,空のconfiguration.PHPファイルを作成し,オーナーをWebサーバーの実行権限にしよう。通常は,nobodyやapacheに設定する。パーミッションは644に設定する。この場合,ドキュメント・ルートは,755のまま変更しなくてよい。

 変更後,もう一度,Webブラウザで先ほどのURLへアクセスしてみよう。今度は,すべて緑色で表示されるはずだ(写真3[拡大表示])。

(ライター 重松 直樹)


(下)に続く