ジャンル:Webコミュニケーション・ツール 作者:PukiWiki Developers Team |
[特選フリーソフト]Webコミュニケーション・ツール PukiWiki(上)
読者が自由に変更できるWebページを作成
PukiWikiは,閲覧者が自由に変更できるWebページを作成可能なサーバー・ソフトだ。Webページの編集をWebブラウザ上で行え,文字を装飾したり,画像を張り付けたりできる。プラグインでの機能拡張も可能だ。
最近は,「Wiki」と呼ばれるWebコンテンツが広まってきた(写真1[拡大表示])。Wikiは掲示板とは違い,Webページを訪れた読者が自由にWebページを追加・削除したり,Webページの内容を編集できる。掲示板よりも,自由な編集が可能だ。編集はWebブラウザ上ですべて行える。FTPサーバーヘのアップロード作業などは必要ない。これを利用すれば,掲示板のようにコミュニケーションを図る,日記やメモとして利用する,FTPサイトのようにファイルを共有する,などさまざまな目的でWebサイトを活用できる。
Wikiの原型は「WikiWikiWeb」というソフト(http://www.c2.com/cgi/wiki)であり,これはWard Cunningham氏がPerlを用いて記述したものだ。今ではWikiWikiWebを改良した“クローン”が数多く登場している。現在ではJava,Perl,PHP,Rubyなど多種の言語を用いたクローンが開発されている。機能もそれぞれのクローンによってさまざまである。
日本で多く利用されているWikiの一つとしてPHPで開発されたPukiWikiがある。PukiWikiは,結城浩氏がPerlで記述したYukiWiki(http://www.hyuki.com/yukiwiki/index.html)をPHPに移植したものだ。
PukiWikiの導入方法
PukiWikiを動作させるには,WebサーバーにPHPがインストールされていなければならない。プロバイダやレンタル・サーバーの中にはPHPに対応していないサービスも多いので確認しよう。しかし,自宅のLinuxマシンを常時接続している場合や,LAN内のみで利用したい場合などは,自分のマシンにWebサーバーとPHPをインストールすればPukiWikiが利用できる。ここでは,LinuxマシンにPHPを導入して,PukiWikiをインストールしてみよう。
まず,ApacheとPHPがインストールされていることを確認する。また,Red Hat Linuxなどのディストリビューションに付属するPHPパッケージを利用している際は注意が必要だ。PukiWikiではPHPのmbstringオプションが有効になっている必要がある。
しかし,Red Hat Linux 9に付属するPHPのRPMパッケージではmbstringオプションが有効になっていない。このRPMパッケージを利用する場合はmbstringオプションを有効にしてソース・パッケージから作り直す必要がある。
一方,mbstringオプションが有効になっているPHPが動作するよう設定されたApacheがインストールされている場合は,改めて導入する必要はない。
ApacheとPHPをインストール
では,早速ApacheとPHPをインストールしてみよう。
ここでは,ソース・ファイルからApacheとPHPをインストールする方法を紹介する。Red Hat Linux 9を利用している場合については後述する。
はじめにApacheをインストールする。インストールは図1[拡大表示]のように進める。するとApacheは/usr/local/apache2ディレクトリ以下にインストールされる。次に,PHPをインストールする。インストール手順は図2[拡大表示]の通りだ。
インストールが完了したら設定を行う。まず,Apacheの設定ファイルを書き換えてPHPを利用可能にする。
$ su
# emacs /usr/local/apache2/ conf/http.conf
と入力後,図3[拡大表示]のように変更する。変更が完了したら[Ctrl]キーと[x]キーを同時に押してから,[Ctrl]キーと[c]キーを同時に押し,設定を保存する。
これで,準備完了だ。試しにPHPが動作するかをテストしてみよう。Apacheが起動していない場合は,
# /usr/local/apache2/sbin/ apacheclt start
と入力して,Apacheのデーモンを起動する。
次にPHPのサンプル・ファイルを作成する。
# cd /usr/local/apache2/ htdocs/html
# echo "<?php phpinfo()?>" > info.php
Webブラウザで「http://localhost/info.php」にアクセスして写真2[拡大表示]のようにPHPの情報が表示されれば無事インストールが完了している。
Red HatでPHPを再インストール
Red Hat Linux 9を用いている場合は,まずPHPのRPMソース・パッケージを入手しなければならない。Red Hat Linux 9用のPHPのソース・パッケージは米Red Hat社のFTPサイトなどから入手できる。本誌付録CD-ROMにも同こんした。
PHPのリビルドにはApacheがインストールされている必要があるので,最新版をあらかじめインストールしておこう。
まず,PHPのソース・パッケージをインストールする。
$ su
# rpm -ivh php-4.2.2-17.2. src.rpm
次に,以下のようにconfigureオプションを変更する。
# cd /usr/src/redhat/SPECS
# emacs php.spec
php.specの310行目に以下のような行があるはずだ。
--with-ldap=shared \
--with-mysql=shared,% {_prefix} \
この2行の間に,新たに2行を追加して,以下のように書き換える。
--with-ldap=shared \
--enable-mbstring \
--enable-mbstr-enc-trans \
--with-mysql=shared,% {_prefix} \
編集が完了したら[Ctrl]キーと[x]キー,[Ctrl]キーと[c]キーを同時に入力してファイルを保存しよう。次にソース・パッケージをビルドする。
# rpmbuild -ba php.spec
ビルドが完了するまで数十分ほどかかる。このとき,パッケージが足りないというエラー・メッセージが表示される場合がある。この場合は,必要なパッケージをRed Hat linuxのCD-ROMからあらかじめインストールしておこう。
ビルドが完了するとRPMバイナリ・パッケージが作成されているので,インストールに移る。
# cd ../RPMS/i386
# rpm -ivh php*4.2.2-17.2. i386.rpm
これで,準備完了だ。試しにPHPが動作するかをテストしてみよう。
まず,Apacheが起動していない場合は,以下のように,Apacheのデーモンを起動しておく。
# /etc/init.d/httpd start
次にPHPのサンプル,ファイルを作成する。
# cd /var/<Web>/html
# echo "<?php phpinfo()?>" > info.php
Webブラウザで「http://localhost/info.php」にアクセスして写真2のようにPHPの情報が表示されれば無事インストール完了だ。