Berry LinuxはRed Hat Linux(現在はFedora Core 2)とKNOPPIXをベースにした1CD Linuxだ。開発者は日本人の中田裕一朗氏である。このほど,東京フォレックス・フィナンシャルから12月に商用版パッケージが発売されることが決定した(関連記事)。

 1CD Linuxは,以前もこの連載で紹介したようにKNOPIXを筆頭にいくつか開発されている。知名度という点ではKNOPPIXが先行しているが,KNOPPIXはDebian GNU/Linuxをベースにして開発されていることもあり,カスタマイズにはDebianに関する知識が必要となる(ただし,KNOPPIXは大幅に修正を加えているため,既にDebianではないとも言われる)。既存のユーザーの多さという点ではRed Hat系であるBerry Linuxも受け入れられる素地が大いにあるだろう。

 Berry Linuxはデスクトップ指向が強い1CD Linuxとして開発されているようだ。そこで今回はLinuxデスクトップとして使えるか,という視点から試用してみた。

高いハードウエア自動認識精度

 Berry Linuxの11月5日時点での最新版はバージョン0.49となっている。作者である中田裕一朗氏のWebページからリンクをたどって,SourceForgeのサイトからISOイメージをダウンロードできる。サイズの小さいコンパクトなMini版もダウンロードできる。組み込み用途などで活用できるだろう。ダウンロードしたISOイメージをCD-Rに焼き込んで,マシンをCD起動に設定して再起動すればすぐに動き出す。

 収録されている主なソフトウエアは以下の通り。Linuxカーネル 2.6.9-rc4,glibc 2.3.3,X.Org 6.8.1,KDE 3.3.1,OpenOffice 1.1.2,Mozilla 1.7.3,Firefox 0.10.1,Sylpheed 0.9.12,Whiz 0.48である。

 カーネルは2.6を使用しているため,ギガビット・イーサネットのサポートが強化されていると推測される。GUIはXサーバーとしてX.org,デスクトップ環境はKDEと現在のディストリビューションでは比較的標準的な構成だろう。デスクトップ利用を想定しており,メール・クライアントとしてSylpheedを,日本語入力にBerry Linuxの作者である中田裕一朗氏が開発しているWhizを使用していることが特徴として挙げられる。

 今回は3種類ほどのハードウエアを用意して動作確認を行ってみた。

・やや古めのAthlonを2基搭載したPC

 マザーボードにMSI K7D Master使用。ハードウエアの認識などは特別問題なかったが,使用しているGeForce2 MX 400を搭載したビデオカード(カノープス製)では,X Windowは動作するものの,解像度が1024×768までしか選択できなかった。

・やや古めのCerelonを搭載したPC

 マザーボードにASUS P4B533使用。特別な問題なし。こちらもGeForce2 MX 400を使用しているが,液晶モニタが1024×768なので前述の問題が汎用的な問題かどうかは確認できなかった。

・比較的新しいPentium 4搭載のPC

 マザーボードにASUS P4P800 Deluxe使用。特別な問題はなし。RADEON 8000を搭載したビデオカードは正しく認識され,1280×1024で動作した。カーネル2.4では認識できなかったオンボードのギガビットイーサネットも,sk98linドライバできちんと自動認識された。オンボードのサウンドチップも利用可能だが,起動時の音が大き過ぎる。

 一部にグラフィック解像度の問題があったが,概ね動作は良好だろう。本来的な使い方ではないが,Fedora CoreなどのRed Hat系のディストリビューションをインストールする前にハードウエアの動作互換性を確認するためのチェック・ツールとして使うのも一つの手だろう。

 それでは実際に使ってみた感想を紹介しよう。