IPv6で用いるアドレスの長さは128ビットである。これにより,ほぼ無限大といっていいほどの広大なアドレス空間を得ることができた。半面,アドレスを覚えるのは相当難しくなった。それでも,アドレス設定に悩まされることはほとんどない。IPv6ソフトは,電源が投入された段階で自らのIPv6アドレスを生成し,それを自分自身に設定する機能を備えるからだ。これは一般に,IPv6における「プラグ・アンド・プレイ機能」と呼ばれている。今回はこのプラグ・アンド・プレイ機能を解説する。

 現在のインターネットは,個々のコンピュータに一意なIPアドレスを割り振ることで通信が成り立っている。自宅であれオフィスであれ,インターネットにつなぐマシンにはIPアドレスを割り当てなければならない。

 IPv6でもこの事情はまったく同じ。IPv6で使うIPv6アドレスは,前回紹介したように128ビットとかなり長い。16進数表記でも気軽に覚えられるものではない。「あなたのマシンのIPv6アドレスは,2001:100:123:10:200:87ff:fe60:9e7aですよ」と言われても,それを手入力でパソコンに設定するとしたらなかなか大変だ。

 幸いIPv6ネットでは,IPv6ソフトをインストールしたときにIPv6アドレスの設定で戸惑うことはない。すべてのIPv6ソフトは,動的に自らのIPv6アドレスを生成し,それを自分自身に割り当てる機能を備えているからだ。つまりIPv6マシンは,IPv6ソフトを起動した段階で,最低限のTCP/IP通信機能をすぐに利用できるようになっている。

 このアドレスの自動割り当て機能を,IPv6におけるプラグ・アンド・プレイ(挿せば動く)と呼ぶ。具体的には,LANケーブルをつないだ瞬間に,世界中でユニークなIPv6アドレスを自らに設定するのである。この機能があるので,IPv6ネットを使っていてもIPv6アドレスの長さに閉口する場面はあまりないだろう。


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