樋口 泰行 社長 インタビュー  続き

――リリースされたばかりのWindows Server 2003への期待感をお聞かせください。

[樋口] マイクロソフトさんが自信を持って,力を入れて出される製品なので,非常に期待しています。特に開発生産性,接続性,信頼性が大きく改善されていて,本格的なエンタープライズ向けOSになったことを歓迎しています。

 Windows Server 2003と連動した形で,われわれのビジネスも展開していきます。それに関しては,近くマイクロソフトさんと新しい活動を始めたいと思っています。

――顧客企業にとって,Windows Server 2003の優位性はどうでしょうか。Windows 2000と比べての観点などはいかがでしょうか。

[樋口] アプリケーション・サーバーとしての開発生産性が向上しているところに,優位性があると思っています。自社開発のアプリケーションで,やりたいと思ったことが,すぐにできるのはメリットがあります。

 Windows 2000と比べても,信頼性が向上し,エンタープライズに特化したところで進化している。ディレクトリ・サービスもエンタープライズ向けになってきています。お客様と接する立場としては,エンタープライズ向けになってきたところに,期待が持てます。

――サーバー事業についてお聞きしたいのですが,HPとしてはいくつものプラットフォームを持っていますね。

[樋口] 32ビットと64ビットのIAサーバー,AlphaServer,Himarayaと呼ばれていたNonStop Server,OSもWindows以外にhp-ux,Linuxとあるわけですけれども…今後は,ボリューム的なビジネスとバリュー的なビジネスのどちらかに割り切って,二極化が進んでいくと思います。

 ローエンドのマーケットは,SOHO(Small Office Home Office)やSMB(Small/Medium Business),大企業でも部門外のお客様向けです。PCに近いローエンドの感覚のものは,価格が重要視されています。今年の1月8日から大幅な価格改定を継続的に行っています。

――価格改定は頻繁にやりましたね。

[樋口] まだまだ,行きます…(笑)。そういう作戦・戦略でやっています。

 一方,お客様にバリューを提供するものもやっていきます。Windowsプラットフォームも,ハイエンドのミッション・クリティカルなものに訴求します。ブレード型サーバーや64ビットのItaniumサーバーなどです。

――ブレード型サーバーはいかがでしょうか。Windows Server 2003にはブレード型サーバー向けの機能があります。

[樋口] ブレード側サーバーは,もともと大型データ・センター向けに設計されています。サーバーがたくさん並びますから,消費電力を抑えた設計や,直流対応,電源ケーブルの本数を削減するなどの工夫をしています。他にもソフトウエアの「Rapid Deploymentパック」によって,ブレード型サーバーのリソースを柔軟に展開できます。これらのハードとソフトの両方を基盤として,UDC(ユーティリティ・データ・センター)というソリューションを提供しています。

――ブレード型サーバーは伸びていくという見方がありますけれども,どのようにみていますか。

[樋口] 元々,ラックマウント型サーバーを初めて開発したのが,旧コンパックでした。現在では世界の半分のサーバーが,ラック型になっています。ブレード型も,「そんなもの使えるのか」という見方がありまししたけれども,ミッション・クリティカルなシステムに置き換わるものとして,長い目でやっていこうと思っています。

――64ビットはいかがでしょうか。Itanium 2の改良版を搭載した「SuperDome」は,64ビット版のWindows Server 2003とSQL Server 2000を使って,TPC-Cで最高値を出しました。

[樋口] 非常に注力している分野です。ベンチマークは世の中の注目を集めていますから。

――Itanium 2は,hp-uxとWindows Server 2003の両方がありますが,どうなりますか。

[樋口] あくまで,お客さまのチョイスが基本です。フランクにいうと,お客さまのこれまでの経験とか,開発部門の方のスキルとか,そういったところでお選びいただくということです。

 コスト・プレッシャーということからいえば,UNIXからWindowsへという流れもあると思います。

 日本は,まだメインフレームが残っている国ですが,これからメインフレームは急激に減らざるを得ない。お客様に対しては,今までメインフレームがやっていたミッション・クリティカルな業務を,Windows Server 2003でも任せられる分野はありますとお伝えしています。また,オープン・システムをWindowsに変えたい,というお客様もいます。そういうハイエンドなエンタープライズ向けでWindows Server 2003に期待しています。