日本AMDは4月23日,サーバー/高性能ワークステーション向けの64ビット・プロセッサ「Opteron(オプテロン)」(開発コードSledgeHammer)を発表した。同プロセッサはAMDが開発した「AMD64」アーキテクチャを採用する初めての製品。これは従来「x86-64」と呼ばれていた技術。AMD64では,既存のIA-32プロセッサ向けに開発された32ビット・コードのOSやアプリケーションがそのまま動作する。また,専用の64ビットOS上で,既存の32ビットまたは新たに開発される64ビット・アプリケーションを動作させることができる。

 同社の堺和夫社長は発表会の席上「新たな技術の採用が,障壁をもたらしてはいけない」とIntelの64ビットCPUであるItaniumをけん制した。Itaniumでは,専用の64ビットOS上で64ビット・アプリケーションを動作させることを前提にしている。64ビットOS上で32ビット・アプリケーションも動作するが,エミュレーションのため性能は低いといわれている。

 今回,発表されたCPUは「Opteron 240」「同 242」「同 244」の3製品。動作周波数は,それぞれ1.4G/1.6G/1.8GHz。1次キャッシュ・メモリーは128Kバイト,2次キャッシュは1Mバイト。製品名につく3けたの数字のうち,最初の“2”は同時搭載可能なCPU数を表す。下2けたは相対的な性能を表し,数字が大きいほど高性能であることを示す。今後は,8CPUに対応する「800シリーズ」を第2四半期中,1CPU対応の「100シリーズ」を2003年内に出荷する。またクライアント機向けの「Athlon 64」を2003年9月に発表する。

 OSは既存のIA-32向けのものがそのまま使える。64ビット版OSは専用のものが必要で,Windows Server 2003とWindows XPの各ベータ版が2003年中ごろリリースされる(既報)。LinuxはRed Hat,Turbolinux,SuSEなどが対応する。大手PCサーバー・メーカーでは,米IBMがOpteron搭載機を開発すると表明した。

(茂木 龍太=日経Windowsプロ)