「第3回 市町村サミット」の様子

 5月18日、東京・品川のホテルパシフィック東京で開催された「第3回 市町村サミット」において「市町村長アンケート結果」が公表された。調査によると、全国の市町村の83.1%の将来の定員管理計画または職員削減計画を持ち、70%が特殊勤務手当てなどの見直しを予定するなど、市町村の人件費抑制への取り組みの実態が明らかになった。

 市町村サミットとは、基礎自治体の主権および自己責任を確立し、市町村から国を変える改革を実現することを目的とした団体で149市町村の首長が参加している。今回の第3回会合では67市町村の首長(および代理参加者)が主席した。調査は2005年3月から4月にかけてアンケートを実施。調査対象2690団体(2005年3月1日時点の市町村数)のうち、987団体から回答を得たもの。

 人員削減方法としては「退職者付補充による削減」が約7割と最も多かった。16年後に職員数を現行の619人から301人に削減する計画を持つ埼玉県志木市の穂坂邦夫市長は「退職者付補充と、市民への業務委託により目標達成は十分可能。これに加えて、週3日勤務などの弾力的な勤務形態が採用できれば目標達成はさらに早まる。しかし、(公務員の勤務形態の採用について)政府に特区申請をしているがなかなか認められない」と発言した。

 このほか、調査によると「全セクションに対し、廃止すべき事業がないか検討させた」団体は77.4%、公の施設管理における指定管理者制度を活用している団体は32.3%(活用を検討している団体は58.1%)など、全般的に市町村長のコスト削減、業務改善に対する意識は高まってきているといえそうだ。

 一方で、政府が推進する「市場化テスト」に対する認知度は低いことが分かった。市場化テストの「名前を知っており内容も大体分かる」とした市町村長は3割以下(29.4%)にとどまった。「名前は聞いたことがあるが、内容はあまり分からない」とした市町村長は49.8%、「聞いたことがない」が18.7%と、市町村長の関心の低さが浮き彫りとなる結果となった。

 また、「名前を知っており内容も大体分かる」とした市町村に、市場化テストの導入意向を聞いたところ、「導入の方向で検討する」とした市町村長はわずか3.4%。他の団体は「導入か非導入かニュートラルに検討」(60.1%)、「現行の指定管理者制度や市町村独自に行う民間委託で十分」(36.6%)と回答した。市町村サミットでは、こうした市町村の消極姿勢について「制度の不透明さに起因するものと考えられる」と分析している。

 市町村サミットでは、アンケート結果のほか、市町村の自立のための取り組み事例を集めた「ベスト・プラクティス」集を公表した。この事例集はWebサイト(「http://town-summit.jp/)でも公開していく予定となっている。(黒田隆明)