アッカ・ネットワークスは8月9日,2005年12月~2007年12月までを対象とした事業戦略を発表した。これまで提供してきた個人向けサービスと,アッカの強みの企業向けサービスに加えて,M2M(マシン・ツー・マシン)市場への参入による三つの事業で成長を目指すとした。

 会見では坂田好男社長が「ADSLのアッカは終わります」と宣言。坂田社長は,「ADSLが利益が出なくなるという意味ではない。これまでADSLと共に成長してきたが,今後は光アクセスやM2Mなどの新規事業も含めた広い意味でのブロードバンドで成長していく」と語った。
 
 2000年の会社設立から“ADSL一筋”で奮闘してきたアッカだが,ADSL事業で競合するNTTグループやソフトバンクは,軒並みFTTHへシフト。ソフトバンクとイー・アクセスは,携帯電話事業へも進出しようとしている。こうした状況のなか,アッカも今年5月にはUSENの子会社であるFTTH事業者ユーズコミュニケーションズ(UCOM)との業務提携で個人向けFTTHに参入すると発表した。さらにM2Mについても,8月8日には日本ユニシス,日本BEAシステムズと共同で来春にもサービスを提供すると発表したばかりだ。

 UCOMと提供するFTTHは「そう遠くないうちに開始する」(湯崎英彦副社長)。来年以降には,0AB~J番号のIP電話や,固定と移動の融合サービス「FMC」(fixed-mobile convergence)の提供も視野に入れる。「自ら免許を取得して無線系のサービスをする気はないが,FMCサービスの提供は絶対必要」(坂田社長)と位置づけており,パートナーと話をしているという。

 アッカは同時に2005年上半期の決算も発表した。売上高は203億8800万円,営業利益は前年同期比46%減の12億9800万円,経常利益は前年同期比50%減の11億6200億円。「半期ベースでは販促費やモデム費用などの増減で上下する。事業はおおむね計画にそって推移している」(湯崎副社長)と説明した。2005年12月期は2004年度と同レベルの売上高410億円,経常利益25億8500万円を見込む。

(山根 小雪=日経コミュニケーション