7月29日に総務省は「光引込線に係る電柱添架手続きの簡素化等に関する検討を踏まえた今後の取組」を公表した。この取り組みは,東西NTT以外の通信事業者が,自前で光ファイバをユーザー宅に引く際の電柱の使用や敷設に関するルールを簡素化するもの。電柱からユーザー宅,いわゆる“ラストワンドロップ”の光ファイバを引きやすくして,FTTHでの競争促進を進める。シェアド型のGE-PONを想定したもので,分岐した光ファイバの稼働率を上げる狙いもある。

 今回の公表は,過去6回開催されたFTTH(fiber to the home)回線の敷設時に必要な電柱の利用手続きを簡素化する措置についての検討会を踏まえたもの。その結果,電柱については,(1)東西NTT用の敷設スペースを一般の光ファイバ敷設地点として新たに開放,(2)新たに開放される敷設地点に他事業者が単独で光ファイバを敷設できない場合は,従来から用意している一般向け敷設地点に単独で敷設可能,(3)従来の一般敷設地点への単独敷設が迅速かつ容易にできない場合,一束化によって東西NTTの光ファイバ敷設地点にも敷設できる,とした。なお,これらは電柱を保有する電力会社によって敷設する地点の高さは異なる。

 また電柱利用手続きについても大幅に簡素化。例えば東西NTTの電柱に光ファイバを敷設する場合は,最初の申請時に将来敷設予定の引き込み線数もあらかじめ申請しておくことで,その後に追加して敷設したい場合も通知だけで光ファイバが敷設できるようになる。

 今後,9月30日までには試行実施区域を決定・調整後,6カ月程度の試行期間を設けた後,本格実施に移る計画である。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション