総務省は7月27日,第3世代(3G)携帯電話サービス用の新周波数割り当てに関する免許方針案を同日開催した電波監理審議会に諮問した。電波監理審議会は即日,方針案を適当とする旨の答申を出した。

 総務省は6月3日に,新たに用意した1.7GHz帯と2GHz帯の二つの周波数帯について割り当て基準案を公表。7月4日までパブリック・コメントを募集していた。今回,意見提出した事業者および個人すべてに回答する形で総務省の考え方を示した。

 例えば,「全国エリアで利用できる1.7GHz帯の15MHz幅を新規事業者に最大2社,それぞれ5MHz幅ずつ割り当てる」という割り当て基準案に対して,新規参入を目指すソフトバンクBBは,「5MHz幅の割り当てでは既存事業者と同等のサービスは提供できない」として,当初から周波数の割り当て幅を10MHz幅とするよう要望した

 これに対して総務省は,「複数の新規参入機会をもうけると共に周波数の有効利用を図るためには,当初割り当てる周波数幅を5MHz幅とし,利用者の増加に応じて追加割り当てを行うことはやむを得ない」との考えを表明。ソフトバンクBBの意見を退けた。

 ソフトバンクBB同様新規参入を狙うイー・アクセスは,早期のサービス展開のため「既存事業者とのローミングや設備共用などのルール化も検討すべき」という意見を提出した。これについても総務省は「原則として自ら全国ネットワークを構築して事業展開をすべき。現時点でローミングや設備共用を義務化するのではなく,当事者間で協議すべき問題」との見解を示し,義務化の意向はないことを明らかにした。

2GHz帯の割り当ては原則としてIMT-2000準拠のシステムだが・・・

 一方の2GHz帯については,総務省が使用する通信システムを3G携帯電話システムに限定するかどうかに注目が集まった。

 総務省は同帯域に導入するシステムとして,TD-CDMA(time division-code divison multiple access)あるいはTD-SCDMA(TD-synchronous CDMA)のいずれかを想定していた。だが,PHS事業者のウィルコムが「2GHz帯は3Gシステムに限らず,新しい通信方式も対象の範囲とすべき」との意見を提出。意見こそ出していないものの,ライブドアがiBurstと呼ぶ3G以外の方式での参入を明らかにしている。

 ウィルコムの意見に対して総務省は「ITUにおいて国際標準とされた第三世代移動通信システムを導入することとする」と明記。3G以外の方式の導入を否定した。これにより,事実上申請が可能なのはTD-CDMA方式での参入を目指すアイピーモバイルに限られることになった。

 ただし総務省は「(参入希望事業者の)審査の結果,方針案が求める要件を満たす申請者が存在しない場合には,IMT-2000以外のシステム導入を含め,より幅広い観点から検討を行う」と明記。2GHz帯を申請したアイピーモバイルが不適格となった場合,ウィルコムやライブドアにも割り当ての機会があることに含みを持たせた。

 総務省は今回の意見を基に策定した正式な方針を公表し,8月下旬から参入事業者の募集を開始する。その後,審査作業を経て年内にも割り当て事業者を決定する計画である。