東京ビッグサイトで開催中の「WIRELESS JAPAN 2005」で,ソフトバンクBBの宮川潤一常務取締役が,同社の携帯事業戦略の一端を披露した(写真)。宮川氏は,同社が参入を目指す携帯事業について「携帯事業では,多彩な事業者とともにサービスを作り上げるオープンな事業モデルを採用したい。これまでのような垂直統合型モデルには限界がある」と語った。

 ソフトバンクBBの固定事業は,アクセス回線からインターネット接続事業までを1社で提供する垂直統合型モデル。しかしこのモデルでは,「なかなかユーザーの多様なニーズに応えられなくなってきた」と宮川氏は語る。そこで携帯事業への参入を契機に,よりオープンな事業モデルに転換したい構えだ。具体的には,「ソフトバンクBBが端末のボードやモジュールを用意し,様々な事業者に提供する。有名ブランドの端末や,ゲーム機に電話機能を付けることも可能になる。またMVNO(仮想移動通信事業者)用にインフラの提供も検討したい」(宮川氏)という。

 同様の事業モデルは,同じく携帯事業への新規参入を目指すイー・アクセスも明らかにしている。イー・アクセスは,既にニフティやソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)などのインターネット接続事業者(プロバイダ)向けに,MVNO用のインフラを提供する見込み。これに対してソフトバンクBBは,「インターネット接続という範囲ではなく,もっとコンテンツ・プロバイダ寄りのパートナ・シップを考えている」(宮川氏)。

 ソフトバンクBBが申請している1.7GHz帯の免許は,2005年12月に結果が出る見込み。携帯事業への参入時期について宮川氏は,「既存の事業者がローミングを提供してくれるのであれば早期参入が可能になる。それがなければ2年はかかる」と語る。初めは山の手線内など地域を限定し,無線LANとW-CDMAの融合カードを使って,データ通信サービスを先に進めることも検討するという。