ウィルコムは7月7日,PHS端末の開発を容易にするための「コア・モジュール戦略」を発表した。これは無線回路などPHSの心臓部の回路をモジュール化し,協力企業に提供するもの。協力企業は無線部分の開発が不要になるため,端末の開発コストを削減できる。

 ウィルコムの狙いは,同戦略を通して多様な音声端末を出現させることと,各種デバイスをPHSに対応させること。例えば,外出先からPHSで遠隔操作できる「おやつサーバー」や,カメラを内蔵するぬいぐるみ型の「お留守番ロボット」などが考えられるという(写真上)。

 モジュールは,LSIチップの「PHSエンジン」と抜き差しが可能な「W-SIM」,組み込み型の「CSCエンジン」を用意する。中でも特徴的なのがW-SIM。ユーザーは用途に応じてW-SIMを様々なデバイスに挿入し,利用できる。W-SIMは最大128kビット/秒の通信が可能なほか,内部に電話帳機能などのための600Kバイトのメモリーを内蔵する。W-SIMの大きさは縦42mm×横25.6mm×厚さ4mm(写真下)。なお,W-SIMの価格とW-SIM用のPHS料金の体系は未定である。

 またウィルコムは,コア・モジュール戦略を推し進めるために「ウィルコム・コア・モジュール・フォーラム」を設立する。同フォーラムを通して,開発キットや検証環境を提供する。

 同フォーラムには現時点で46社が参加する予定。アップルコンピュータやオムロン,カシオ計算機などのパソコン・電子機器メーカーのほか,バンダイやトミーといった玩具メーカーもこれに含まれる。

(武部 健一=日経コミュニケーション