NEC通信システムは,6月29日から7月1日まで東京ビッグサイトで開催された「組込みシステム開発技術展(ESEC)」でメッシュ型無線LAN対応のアクセス・ポイント(AP)を参考出展,デモを実施した(写真)。

 デモはノート・パソコンに接続したカメラで撮影している動画を,4台の無線LAN APで組んだメッシュ・ネットワークを介して別のパソコンでリアルタイムに閲覧するもの。4台の無線LAN APのうち3台を経由してデータを送信しており,うち1台の電源を落とすと自動的に他のAPを使った経路に切り替えるデモを実施した。切り替えに要する時間は現状は1秒から2秒。

 参考出展の機器が使っていた無線LAN規格はIEEE 802.11g。ルーティング・プロトコルはOLSR(optimized link state routing)を採用した。OLSRを採用した理由は「マルチキャストに向いているため」(NEC通信システム)。同社では,メッシュ型無線LANを災害時や山間部,工事現場などのネットワークとして使うことを想定。

 実用化に向けての課題として「音声などを想定した帯域制御や高速な切り替えの実現,機器自体の省電力化」(NEC通信システム)を挙げた。製品は研究開発段階だが,同社は11月ころまでには製品化したいとしている。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション