「新規事業者は既存事業者に比べて割り当てられる周波数帯などの点からイコールフッティング(平等な市場参入条件)にならない。この点では(ソフトバンクの)孫さんと意見が一致する」---6月22日,都内で会見したイー・アクセスの千本倖生・代表取締役会長兼CEO(写真)が携帯電話の新規参入について述べた。

 総務省は6月3日,1.7GHz帯を使う第3世代携帯電話サービスへの新規事業者を最大2社と公表。これを受けて千本CEOは「新規参入事業者として有力なのが,イー・アクセスとソフトバンク」とした上で,「現状,周波数幅を20MHzから30MHzも使える既存事業者とは競争にならない」と説明。

 総務省が全国で割り当てる1.7GHz帯の周波数幅は上り下り合計で30MHz。これを最大2社でそれぞれ10MHzずつ割り当てるため(残り10MHzはサービス開始後の状況で判断),全国でサービス展開をするには周波数が十分でないと考えられる。そこで,新規事業者が既存事業者の携帯網を一部開放してもらい,ローミングすることで全国展開を可能とし,既存事業者とのエリア展開を公平にする案が上がる。

 6月21日に一部報道されたNTTドコモの携帯電話網部分開放に対して,NTTドコモは「今は検討していない」(関連記事)としているが,千本CEOは「NTTドコモとボーダフォンに対してひそかに(網の部分開放の)アプローチをしている」と述べた。

 携帯電話の市場に関しては,「日本はアメリカに比べて音声通話の時間が1/4しかない」(千本CEO)と語り,まだまだ市場が伸びる余地があるとの見方を示した。新規事業者が市場参加することで,「現在8兆5000億円の携帯市場を10兆円を超える市場にしたい」と抱負を語った。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション