ソフトバンクBBの孫正義社長らがFTTH(fiber to the home)関連の特許を出願していたことが本誌の調査で明らかとなった。ソフトバンクBBの光サービスの技術責任者,荘司育男氏との共同発明となっている。ソフトバンク・グループとして,FTTHや光ファイバ関連の特許を出願したのは初。

 出願中の特許は二つある。名称は「光ファイバ通信システム,局側集線装置,加入者側ノード装置及び光ファイバ通信方法」(公開番号は特開2005-151181)と「光ファイバ集線装置の収納ボックス及びその冷却方法」(同特開2005-150401)。どちらも2003年11月に出願しており,今年の6月9日に公開された。どちらもFTTHサービスの管理/運用コストの削減を目的としたもの。

 一つめの特許はFTTHの光ファイバ区間における回線経路を管理する技術に関連するものと思われる。市中に光ファイバをループ状のネットワーク構成で敷設し,障害の発生時には別の経路で通信するとしている。現在のFTTHサービスでは局からユーザーにスター状に延びるネットワーク構成が一般的だ。

 二つめの特許は屋外に設置する光ファイバや機器の収容装置にに関するものと見られる。装置の冷却方法を定めたもので,従来に比べて管理が簡易になるという。具体的には,きょう体の内部や外部の温度などの状況を監視し,冷却ファンの動作を制御。きょう体のフィルターの目詰まりなど運用時の問題を防ぐとしている。

 このほか,孫社長は2003年2月にISDNとIP電話の連携方法についても特許を出願していることが判明した。出願した特許の名称は「ゲートウェイ装置,内線電話交換システム及び内線電話交換方法」(公開番号は特開2005-51549)。代表電話番号の運用について定めたものだ。

 ソフトバンク・グループはIP電話に関連した特許を多数出願している。本誌の調査では,今回の出願でソフトバンクによるものが9件,ソフトバンクBBが5件の合計14件となった。これに光ファイバの2件の特許が加わった。ただし,これらの特許は出願された状態で,成立はしていない。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション

●日経コミュニケーション編集部より 荘司育男氏の氏名に誤りがあったため,訂正いたしました。2005.06.21