総務省は6月20日,FTTH(fiber to the home)回線の敷設時に必要な電柱の利用手続きを簡素化する措置についての検討会の第3回を開催した。

 今回は前回に引き続き,NTT東西地域会社が電柱上に保有するケーブル敷設用の専用スペースの一部を,他事業者に開放する際の優先順位などを議論した。

 このうち,東京電力とNTT東日本が管轄する関東地域では通信事業者間で合意の方向性が少しずつ見えてきた。具体的には,NTT東日本が管轄するスペースのうち,地上から6.1mの地点をソフトバンクやKDDIなどの他事業者に開放。6.1mのスペースに空きがない場合,他事業者は地上から6.4mのところにある一般の共用スペースを使って敷設する方向で議論が進んだ。

 ところが,同じ条件を関西地域に適用することに関西電力が難色を示した。「関東より低い電柱が多いため,6.1mの地点に設置スペースを作られると,電力線との安全上の距離を保てない」と主張。NTT西日本が利用中の地上から5.8mのスペースで,NTT西日本のケーブルと他事業者のケーブルを束ねる一束化が望ましいとした。

 これに対し,会合の当初から一束化に強い難色を示してきたNTT西日本は強く反発。同社が管理する電柱のサンプル調査を例示し,「関西地域でも多くの場所では地上から6.1mの場所にスペースを確保できる」と主張した。しかし関西電力も,「将来設置する可能性のある変圧器の設置スペースが確保できなくなる」などと反論し,議論は平行線のまま。関西地域の議論はいったん保留扱いとなった。

 次回の会合は,30日に開催の予定。光ファイバを敷設する際に必要となる,電柱利用の申請手続きをどのように簡素化できるかを詳細に議論する予定。

(島津 忠承=日経コミュニケーション