NTTコミュニケーションズ(NTTコム)はCATV事業者向けにビデオ・オン・デマンド(VOD)の配信プラットフォームを提供する。技術開発はほぼ終了しており,遅くとも年内に本格投入する。CATV事業者は比較的小さな初期投資で,ユーザーの希望に応じた映像コンテンツを流すVODのサービスに取り組むことが可能となる。

 NTTコムは東京にVODサービスの制御サーバーや課金用のサーバーを用意。広域イーサネットなどの通信回線を通じ,CATV事業者に配信する。CATV事業者への課金方法については,抱えるユーザー数に応じた月額料金となる見通し。コンテンツはMPEG-2で提供。CATV事業者からユーザーへは放送用の周波数帯域で伝送する。ユーザーはVODが利用できるデジタル放送用の既存セットトップ・ボックス(STB)でサービスを利用できる。コンテンツについては,映像とカラオケをあわせて当初1000タイトル以上を提供する予定。

 CATV事業者がサービスを利用するには,NTTコムが全国の政令指定都市など主要都市に設置したコンテンツ・サーバーまでのアクセス回線を契約する必要がある。1アクセス当たり4Mビット/秒でVODのコンテンツを配信できる。例えば,同時に10ユーザーへサービスを提供するには40Mビット/秒の帯域が必要となる。このほか,NTTコムは空き時間を利用してCATV事業者に用意したサーバーにコンテンツを配信する仕組みも検討中。この場合,アクセス回線の帯域を節約できる。

 NTTコムは全国のCATV事業者にインターネット接続回線やIP電話の基盤サービスを提供している。これら取り引き関係にあるCATV事業者に,映像のVODサービスを売り込みたい考えだ。CATV大手ではジュピターテレコム・グループが放送用の周波数帯域を利用したVODサービスを1月に始めている。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション