カナダのノーテルネットワークスは企業向け戦略の強化を急いでいる。6月には,大規模向けレイヤー3スイッチ「Nortel Ethernet Routing Switch 8600」の10ギガビット・イーサネット(10GbE)対応を発表した。イーサネット・スイッチング・ビジネス担当のサンジーブ・グプタ・ディレクター(写真)に今後の製品戦略などを聞いた。

――ほとんどの企業にとって,10GbEはまだ早いのではないか。

 たしかに現段階では市場が小さい。しかし,これからコア・スイッチを導入するのであれば,8~10年先を見据えておく必要がある。10GbE対応製品が有力候補になる。大手金融機関や大学,大手メーカーの製造工場などで既に導入が始まっている。今後,10GbEのサーバーへの搭載が進めば,導入が一気に加速するだろう。

――今後はどのような機能を強化していくのか。

 LANスイッチの高速化と高密度化を強化する。これはどのメーカーも同じだろう。他社との差別化という意味では,耐障害性(Resiliency),セキュリティ,モビリティの三つが柱になる。

 まず耐障害性は,ファームウエアの次期バージョン「Routing Switch Software v4.1」で「R-SMLT」(routed split multi-link trunking)と呼ぶ独自のリンク・アグリゲーション機能を搭載する。障害時のルートの切り替え時間を100ミリ秒以下で実現できるようになる。

 次にセキュリティは,イスラエルのチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズが提供するファイアウォールやVPN(virtual private network)機能を追加するモジュールを提供済み。年内には不正侵入検知システム,検疫ネットワーク機能なども追加できるようにする。どのパケットがどこからどこに送られたのかを詳細に追跡できる「フォレンジック」と呼ばれる機能も提供する。

――モビリティに当たる無線LANでは,これまで米エアスペースと技術提携して無線LAN製品を提供してきた。2005年に入って米シスコシステムズがエアスペースを買収したが,今後はどうなるのか。

 米エアスペースは電波管理の面で強みがあったが,最近はセキュリティの要件が高まっている。この分野で強いのが米トラピーズ・ネットワークスである。この3月に同社との技術提携を発表しており,新たに「WLAN Security Switch 2300シリーズ」の名称で製品を提供していく予定だ。

――10GbE以上の高速化は予定しているのか。

 40ギガビット・イーサネットになるが,まだ標準化もされていない。規格が標準化されてからの対応になる。