静岡県を中心に広域イーサネットなどを提供するTOKAIグループは6月3日,同社の通信サービス「BroadLine」に10Gビット/秒の専用線などの新メニューを追加すると発表した。ここでいうTOKAIグループとは,TOKAIとビック東海を指す。

 今回新たに追加したのは,イーサネット専用線の10Gビット/秒の品目。また,SONET/SDH専用線を新設し150M,600M,2.4G,10Gビット/秒の品目を用意した。サービス品目の拡充とともに,提供エリアをこれまでの東京-名古屋間から東京-大阪間に拡大した。TOKAIグループは,今年4月に東京-大阪間の基幹網の構築を完了させたばかりで,今回の新サービスが新基幹網を使う第1弾となる。

 東京-大阪間は最もトラフィックが集まる場所で回線のニーズも高い。TOKAI東京通信事業本部通信事業部長代理兼ネットワーク部長の服部芳彦取締役は,「正式発表前のプレセールスだけでも,これまで4年間提供してきた東京-名古屋間の専用線と同じくらいの回線数を受注した」とニーズの高さを説明する。

 新サービスの目玉は低価格な料金設定だ。「東京-大阪間で提供中のどの事業者の専用線サービスよりも安く設定した」(ビック東海通信事業部企画部企画グループの高橋強グループ長)。東京-大阪間の10Gビット/秒のイーサネット専用線で月額840万円。10Gビット/秒のSONET/SDH専用線で1323万円となっている。「競合他社よりも約30~50%安い値付けになっているはず」(高橋グループ長)と説明する。

 料金を安くできた理由は,(1)総延長距離で2000kmの光ファイバを自社で保有し,新基幹網の8~9割を自社ファイバで構築できたこと,(2)安価で高機能や新しい製品を新基幹網に導入し網コストを抑えたこと--の2点。TOKAIグループは通信事業者向けに,専用線のほか心線貸しも推し進めている。「10Gビット/秒の専用線を複数本使うほど広帯域が必要な事業者には,専用線ではなく心線も拡販していきたい」(服部取締役)と抱負を語った。

(山根 小雪=日経コミュニケーション